本市のサイクリングチーム「イゾラーニ・ファルコーネ」(大坂明代表)が市内の港や観光拠点に手作りの「サイクルラック」の寄贈を続けている。一部は材料費のみの提供を受けているが、大半は無償で寄贈している。
これまで設置したのは郷ノ浦、芦辺、印通寺の各港、猿岩、男嶽神社、月読神社、うめしま、明るい農村、壱州本陣、ファミリーマート(郷ノ浦、芦辺)の計11か所。幅5㍍、高さ1㍍程度で、ラック1基に10台程度のロードバイク(ロードレース用の自転車)を吊り下げて固定することができる。
サイクル仲間から鉄骨材の提供を受け、大坂さんが溶接。ラックに貼るステッカーも仲間で用意した完全手作りの作品だ。
壱岐サイクルフェスティバルをはじめ各地のロードレースに出場してきた大坂さんは「ロードバイクは駐輪用スタンドが付いていないので、駐輪するときには何かに立てかけたり、倒したりしないといけないが、傷がついたり、つけたり、観光地では通行の邪魔になるなどの難点がある。壱岐をサイクルツーリズムの聖地とするために、サイクルラックが必要だと思った」と寄贈の理由を話した。
チームのメンバーは、国交省観光庁の令和2年度観光地域動向調査事業「自転車で海を渡るサイクルツーリズム」事業のモデルルート視察ツアーに参加し、唐津~壱岐~福岡間の市町村をつなぐ広域的なサイクリングルートの構築について意見交換などを行い、道路環境・自転車関連施設・休憩施設・病院施設などを明記した壱岐市内のルートマップ作成に寄与した。その調査の中でも駐輪設備がないことが課題となっていたことも、今回の寄贈につながった。
市も第3次市総合計画で「スポーツツーリズムの推進」を掲げており、その中で「サイクリングの適性が高い壱岐の地形や景観を活用したサイクリングルートを開発する」とサイクルツーリズムへの取り組みを盛り込んでいる。
大坂さんは「壱岐は自動車の交通量が少なく、景観が良い。地元サイクルチームがあるし、毎年、壱岐サイクルフェスティバルを開催しており、サイクリストへの理解も深く、受け入れ環境が整っている。コースは初心者から上級者まで楽しめる地域・環境という高い評価を受けており、サイクルツーリズムは今後、大いに発展していく可能性がある」と期待している。