市地域おこし協力隊のメンバーが企画した「壱岐島・葦(あし)船学校2014」(壱岐島葦船プロジェクト主催)が7月25、26日の2日間にわたって行われ、葦船海洋冒険家・石川仁さんの指導で、八幡小学校(三根圭子校長、45人)の児童が葦船を手作りし、乗船に成功した。
葦の船は数千年前から航海に使われていたという。古事記にもイザナギノミコトとイザナミノミコトとの間に生まれた最初の神様である蛭子命が、葦船に乗せられて海に流されたと記されている。葦船はその材質から遺跡から発掘されることはほぼないが、壱岐市には葦が多く自生し、「芦辺町」の「芦」は「葦」に由来するとの説もあり、原の辻に住んでいた弥生人が葦船を利用していた可能性も否定はできない。
子どもたちがそんな葦の歴史ロマンを感じ、船作りを体験することを目的に葦船学校を開校した。初日は、弥生時代の船着き場が望める原の辻ガイダンスで、八幡小の4~6年生20人が、石川さんの指導の下、チョリソ(葦の束)作りからスタート。葦は地域おこし協力隊員らが幡鉾川支流の池田川沿いで4月に刈り入れて、天日で乾燥を行って30束を用意した。
全員で協力しながらロープワークで大チョリソにまとめていき、船体の絞り込み、波除けの取り付けを行い、みるみるうちに葦船の船体を作り上げていった。帆には思い思いの絵をデザインし、約6時間かけて完成させた。
2日目は葦船を清石浜に運び、八幡小の1~3年生も加わって進水式を挙行。ライフセーバーらに見守られながら、全員で乗船体験を行った。城野孝太さん(6年)は「作っている時はすごく重かったので、本当に浮かぶのか心配でしたが、みんなが乗っても沈まなかったので感動しました。自分で船を作ったなんて、信じられません。石川さんに、自分の好きなことをやり抜くことの大切さを教わりました」と感激していた。
02年から全国でワークショップを実施し、これまで142艇の葦船を製作している石川さんは「これだけ子どもたちが中心になって製作したのは初めて。子どもたちがリーダーシップを発揮して、大人はサポートするだけでしっかりと製作ができるということを、私も学ばせてもらった。来年は他の小学校の児童も参加して実施したい」と壱岐の子どもたちの自主性、集中力の高さに驚いていた。
完成した葦船は、夏休み期間中は一支国博物館で展示される。