市立郷ノ浦図書館が旧公立病院跡地(本村触)に移転、新設される計画であることが分かった。12月23日に壱岐の島ホールで開かれた今年度総合教育会議で、所管する市教育委員会が明らかにした。現在の郷ノ浦図書館は1979年に武生水地区公民館として建設され、96年に壱岐観光会館内にあった図書館が移転した。築40年が経過し老朽化が進んでいること、耐震工事がされていないことなどから、移転先を模索していた。市教委は5月までに新図書館整備検討委員会を設置し、移転へ向けた具体的な検討に入る。
郷ノ浦図書館は壁、天井などの経年劣化、未耐震化で利用者の危険性が危惧されていることに加え、バリアフリー設備、照明、書架、収納スペース、閲覧スペースが不足しているものの、限られた敷地でこれ以上の増築は難しい。蔵書は約6万1千冊だが、すでに収容能力を超えている上に、書庫や倉庫もなく、適切な保管環境でないことから資料の劣化も著しくなっている。また駐車場は図書館利用者分として7台のスペースがあるが、市商工会と併用のため駐車できないことも多い。
このような状況から、一昨年12月の総合教育会議で移転について検討が行われ、当初は壱岐の島ホール106号室に加え、隣接する小金丸記念館の一部も活用する案が有力視されていた。具体的な移転策について、昨年3回開催された市図書館協議会で検討が行われたが「106号室では、吹き抜け部分に2階を増設しても、床面積は現在とほぼ変わらない」「ステゴドン像設置場所に増築するにしても、地盤沈下の心配がある」など疑問視する声も上がった。
また106号室は現在、主に母子健康診断会場などに使用されている。19年度当初予算で新たな健診センターを建設する案が盛り込まれたが、市議会予算委員会で執行保留の措置が取られたことで、白川博一市長は12月会議でこの計画を一旦取り下げたことを報告した。106号室を図書館にすると、母子健診会場探しが困難になることも予想される。
そのため協議会では「壱岐の島ホール106号室」「旧公立病院跡地」「壱岐海上保安本部横の空き地」の3か所を候補地として検討した結果、「盈科小、郷ノ浦中、壱岐高校に近く、バス停も付近にあり、十分な敷地面積がある旧公立病院跡地に新築することが最適」と市教委に答申。11月27日の定例教育委員会に上程され、承認された。市教委は総合教育会議での報告前に、市議会12月会議総務文教厚生常任委員会、全員協議会で議員に説明を行っている。
具体的な計画は今後、新図書館整備検討委員会の中で話し合われるが、文化財発掘調査が必要となるため、市教委は委員会設置の3年後、令和5年5月までのオープンを目指している。倉庫として活用している旧公立病院精神科病棟、耐震強度不足で現在は使用されていない市総務部別館を取り壊すと、敷地面積は約3300平方㍍で、建ぺい率を考慮すると2300平方㍍程度の床面積まで建設可能だが、現在は新道駐車場として利用されている場所のため、駐車スペースを多く残すように図書館は床面積1200平方㍍程度を想定。それでも現在の3・2倍になる。
建設費用は、1平方㍍30万円で計算すると3億2千万円で、国、県などの補助金で該当するものがあるか、検討している。設備は、昨年大村市にオープンした県立ミライON図書館と連携強化ができる映像伝送システム、学生の学習スペースの設置や、喫茶スペースなどを併設した複合施設にするかなど、今後委員会の中で検討していく。