壱岐サッカー協会は15日、筒城ふれあい体育館で「心をつなぐスポーツのチカラ~ブラインドサッカーから学ぶコミュニケーション~」を開催。壱岐少年サッカークラブ、アビスパ福岡ジュニアチームの子どもたち約60人が参加した。
ブラインドサッカー女子日本代表の藤井潤コーチが講師を務め、芦辺町出身でブラインドサッカー・ナショナルトレセン強化指定選手に選出されているF・C・Avanzareつくばの山川聖立(せいりゅう)選手(23=筑波技術大学4年)が特別ゲストとして参加。アイマスクを着用したコミュニケーション、ブラインドサッカーを体験した。
前半はアイマスクを着けた人を誘導して歩いたり、階段を昇降したりして、視覚障害者とのコミュニケーションを図る体験。後半は、動かすと鈴の音が鳴るボールを使って、アイマスクを着けたままパス、ドリブル、実戦形式のディフェンスを行うなど、ブラインドサッカーの楽しさ、難しさを経験した。山川さんが立っている人たちを避けながらのジグザグドリブルを披露、ディフェンスをかわして見事なシュートを決めると、子どもたちからは大きな拍手が起きた。
壱岐SSCの山田大翔キャプテン(瀬戸小6年)は「ボールを見ないでサッカーをするなんて考えられないことで、とても難しかったが、山川さんのまるでボールが見えているような動きを見ると、サッカーは視覚障害があってもできるスポーツなのだなと思った。受ける人のことを考えたパスの出し方が重要なことは、通常のサッカーでもブラインドサッカーでも同じだということに気がついた」と話した。
山川さんは網膜色素変性症で先天的に視野が狭く、視力も次第に悪化する視覚障害があり、壱岐高1年まで続けていた野球を断念。吹奏楽部に入部したが「やはりスポーツがしたい」と進学した筑波技術大学でブラインドサッカーに出会った。「ブラインドサッカーを通して、視覚障害者など困っている人に対しての思いやり、何事においても相手を思いやる気持ち、難しいことに挑戦する意欲を子どもたちに伝えたいと思った。故郷・壱岐に少しでも貢献できたことが嬉しい。今後はブラインドサッカー日本代表入りを目指している」と目標を語った。
壱岐SSC・山田武範監督は「やさしいパスを出すこと、大きな声で指示の声を出すこと、仲間とコミュニケーションを取ることは、サッカーでは極めて重要な基礎だが、つい忘れてしまいがちになる。ブラインドサッカーを通して、選手も指導者も学べることは多い」と今後も定期的にブラインドサッカーをチームに取り入れていく考えを示した。