市中体連陸上・相撲競技大会が16日に行われた。陸上では3種目で大会新記録、1種目でタイ記録が出た。平均風速5㍍以上、最大瞬間風速13・3㍍の強風でハードルが設置できず、ハードル4種目は18日に順延された。厳しい気象条件でも、壱岐を担う陸上界のスターたちは実力を発揮。3年男子は百、二百㍍長門虎太郎、四百㍍豊本昂甫、八百、千五百㍍竹口然の郷ノ浦3人が実力を示した。
長門は9日の唐津中学陸上で百、二百㍍の市中学記録を更新。この日は土のグラウンドのためその記録には及ばなかったが、共通二百㍍は大会記録(平成12年西野亘=23秒9)を大幅に更新する23秒3。3年男子百㍍も11秒5を出した。長門は「足、腰の状態が万全ではなく苦しかったが、周囲の人に支えられて百、二百の2冠を獲得できた。二百は全国出場を狙っているし、百も予選、決勝と11秒5前後を揃えられたので自信になった」と県中総体への手応えを確信した。
豊本は二百㍍こそ長門に及ばず2位だったが、得意の四百㍍では2位に2秒1の大差をつける圧勝だった。「二百の決勝から四百まで時間がなかったので体力的につらかったが、2レーンだったので前を追って攻める姿勢を出せた。県中総体では2位以内に入って、九州大会出場を目標にする」と話した。
長距離王者の竹口は八百㍍は逃げ切り、千五百㍍は残り二百㍍から仕掛けて突き放す、ともに危なげないレースぶりで楽勝した。「八百は離れた先頭だったのでペースをつかむのに少し苦労したが、千五百はまだ余力があった。風が強かったのでタイムよりも勝つレースに徹した」と貫録の2冠だった。
1年男子は、今春まで「スーパー小学生」として全国で活躍してきた竹下紘夢(郷ノ浦1年)が、中学デビュー大会で1年百㍍、1年千五百㍍と短長距離の変則2冠を達成した。千五百㍍はライバル・原田航汰(勝本)との一騎打ちとなったが、ラスト百㍍で余裕十分に突き放した。その10分後に行われた百㍍決勝は同走者のフライングがあり慎重なスタートになったが、それでも大会記録に0秒2まで迫る12秒5をマーク。1年男子、低学年男子の4×百㍍リレーとも3走で優勝に貢献し、合わせて4冠となった。竹下は「特に疲れは感じなかった。自分の走りができたと思う。千五百は県中総体でも優勝が狙えると思う」と自信を見せた。
女子も役者が力を見せた。山口陽依理(勝本3年)は3年百㍍、共通二百㍍に優勝。「百㍍は昨年、竹下莉央さんに負けて2位。何としても雪辱したかったので、勝てて嬉しい。二百は昨年3年生の黒木さんに続く2位だったので、同学年には負けるわけにはいかないとの思いで走った」と笑顔を見せた。
長岡幸奈(郷ノ浦2年)は、専門の共通走り幅跳びで大会タイ記録の4㍍74をマークして連覇。「5㍍を超えるつもりだったので悔しい。追い風だったが、風が強くて踏切りのタイミングをつかめなかった」と肩を落としたが、2年百㍍は大会記録(平成5年長島香織13秒2)を0秒2更新する13秒0をマークした。長岡は「新しい走り方を取り入れてから記録が伸びている。唐津では全天候型トラックで12秒68をマークしたし、走り幅跳びも5㍍22まで伸びたので、ともに九州大会、全国中学を狙いたい」と自信を見せた。
長距離女王の田中咲蘭(芦辺2年)は2年八百㍍、共通女子千五百㍍を制した。脚のけがを抱え、また強風の影響もあり記録が伸びなかったが「八百は最後までためて勝負に徹した。千五百は、1年の野村さんに最後までついて来られてきつかった。市大会でこんなレースは久しぶり。野村さんは急激に力をつけている。私も負けられない」と新たなライバルの出現に嬉しそうな表情を見せた。その野村夏希(郷ノ浦1年)は1年八百㍍を楽勝し、先輩相手の共通千五百メートルで0秒3差の2位。「八百はタイムをもう少し詰めたかった。千五百は、目標にしている田中さんと良いレースができて楽しかった。次は負けないようにもっと練習したい」とさわやかに語った。
昨年の県中総体は共通走り幅跳びで松本汰壱、2年男子4×百㍍リレーで郷ノ浦が優勝。1年女子八百㍍で田中咲蘭が2位。3年女子八百㍍で末永恋菜、3年男子百㍍で松本汰壱、1年女子百㍍で長岡幸奈が3位。学校対抗では郷ノ浦が準優勝するなど、壱岐勢が大旋風を巻き起こした。今年の大会(7月25、26日=諫早)は、昨年以上の役者が揃い、陸上大国・壱岐をさらに見せ付けてくれそうだ。