市議会庁舎建設検討特別委員会(市山繁委員長)の第3回会合が10日、市議会議場で行われ、市は新庁舎建設後の4庁舎跡地利用、住民サービス、庁舎規模、行政スリム化、現庁舎の耐震診断と長寿命化の5点について説明した。
白川博一市長は「新庁舎を建設すべきだと決断した。もう1つの車輪である議会にも早期に決断して頂き、ともに建設へ向けて前へ進んで行きたい」と一歩踏み込んだ言葉で建設への強い意思を示した。
一方で、9月議会一般質問で呼子好議員の「建設候補予定地を挙げてもらわなければ、特別委での審議は難しい」との指摘に「特別委の中で意思を示す。場所に関しては(複数の候補を挙げて)消去法で残ったところになるのではないか」と答えていたものの、この日も候補地を特定しなかった。
田原輝男議員が改めて「まず場所をはっきりとして欲しい」と迫ったが、「(特別委で)建てないという判断が出れば、場所は必要なくなる。建てることが決まってから初めて議論するべきで、この場所なら賛成で、ここなら反対という議論は止めてもらいたい。市民が総体的に利便性が一番良いと考える場所がふさわしく、場所で綱引きをするのは良くない」と明言を避けた。
田原議員はさらに「綱引きは良くないという気持ちは判るが、私も議員として市民からの質問に答えなくてはならない」と迫ると「市民には、議員への(建設場所についての)質問を止めてもらいたい。市庁舎の場所の変更には議会の3分の2の議決が必要なので、市民2万8千人の3分の2が“ここなら良いだろう”というまで議論してもらいたい。市民にとって一番の利益になるところを提案する。信頼を裏切らないので、市と議会を信頼して欲しい」とあくまでも議会が建設賛成と判断した後でなければ、候補地を明らかにしない姿勢を押し通した。
新庁舎建設後の住民サービスについて市は「証明書発行事務については郵便局などへの業務委託や証明書自動発行機の設置を行う」としたが、郵便局に置くFAX設置料、自動発行機の価格について質問されると、眞鍋陽晃総務部長は「対馬市の事例でFAX170万円、自動機は2千万円となっているが、詳細は判らない」と回答。また高額が予想される住民基本台帳などのデータ移行費用が計画に入っていないことについても「詳細な試算はしていない」と、建設の賛否を判断するための資料がまったく整っていないことが明らかになった。
また現4庁舎の耐震診断、長寿命化改修の費用が計約26億円と試算されていることについて「1庁舎で6億円もかければ新築できてしまう。新庁舎を作った方が良いと市民に思わせるための数字なのではないか」と厳しい指摘があった。
建設を判断するタイムリミットは今年中とされており、アンケートで建設反対が圧倒的多数だった市民の疑問をすべて解消するための会議は、あと1~2回しか残されていない。