社説

壱岐の海を「センター」に。

以前の新聞社で芸能を担当していた時に、作詞家・秋元康さんの取材をしたことがある。AKBグループ結成前だったが、すでにおニャン子クラブで大成功を収めていた。秋元さんは「アイドル」の条件として、「何かひとつ、飛び抜けたものがなければ成功しない。水準以上に可愛い、歌やダンスが上手いというだけでは、すぐに埋もれてしまう」と話した。「三人娘と言われた山口百恵さんは14~15歳とはとても思えない、とてつもない雰囲気があった。森昌子さんはまさに天才的に歌が上手かった。桜田淳子さんは居るだけで周り全体が華やぐオーラがあった。超越した3人がたまたま同時代に誕生した奇跡のような出来事だった」と70年代アイドルを振り返った。だからこそ秋元さんは「普通に可愛い女の子」を多数集めて素質の違いをカバーし、おニャン子クラブ、AKBグループで大成功させたのだ。ただし、グループの中にも「センター」は必ずいる。中心になる1人の存在が、グループ全体をけん引しているのだ。

同じことを壱岐観光に当てはめて考えてみた。壱岐には魅力的な素材が溢れている。美しい海、歴史を感じさせる遺構や神社、ウニや壱岐牛の食材。どれをとっても一級品だ。だがどれも「トップアイドル」というほど抜きん出た存在ではない。それだけに市や観光連盟が、秋元さんのような手法で「素材の数」で壱岐を売り込もうとしているのは間違いではないとは思うが、その中で「壱岐にしかない」という「センター」を務める存在がまだ見当たらない。

素材の中でもっとも素質が高いと思われるのは、筒城浜、錦浜、大浜の静かな美しい砂浜ではないだろうか。美しい海は沖縄に多くあるが、ここまで雄大で人が少なく、「海」を実感できる海岸は全国にも少ない。多くの観光客が「離島」に求めるのも「海」であるはず。この砂浜をどのような「センター」に育て、売り出していくのか、その手腕が壱岐市に問われている。

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