旧鯨伏中学校跡地に開校して2年目を迎えた、本市初の専門学校「学校法人岩永学園・こころ医療福祉専門学校壱岐校」(中野勝校長)の入学式が3日、芦辺・つばさで行われ、インド、カンボジアからの外国人留学生17人、佐世保高等技術専門校入校生1人を含む25人が第2期生として入学した。このうち6人が壱岐高校、壱岐商業高校の新卒者だった。2年間の学習で介護福祉士の国家資格取得を目指す。昨年の13人(外国人留学生8人)から12人の増加で、定員の1学年36人には満たなかったものの、離島の専門学校は着実に浸透しつつある。
入学式で新入生代表の小水萌さん(壱岐高卒業)は「市、介護施設から奨学金を受けるなど、周囲の多くの支えがあり入学することができた。壱岐市の介護福祉に役立つことができるよう、しっかり勉強することを誓います」と宣誓をした。小水さんは中学時代から将来は介護の仕事をしたいと目標を決め、壱岐高ではヒューマンハート部で福祉活動に取り組んできた。「地元に介護福祉の専門学校ができたことは本当に嬉しかった。開校が決まってすぐに入学することを決めていた。同級生たちが島外に進学しても、うらやましいと思ったことは一度もなかった。2年間しっかり勉強して、地域に貢献できる介護福祉士になりたい」と目を輝かせた。
インド人16人、カンボジア人1人の外国人留学生は、いずれも長崎市などの日本語学校「こころカレッジジャパン」で1年から1年半、日本語を勉強しており、日常会話程度はマスターしている。岩永城児理事長は「できれば日本人が10人程度入学して欲しかったが、全体で25人が目標だったので、人数としては順調に推移している。昨年入学した8人の留学生は、アルバイトのコンビニエンスストアでもとても評判が良く、地域のイベントにも積極的に参加して、壱岐に溶け込んでいる。介護の仕事は周囲の人を支えることで、その精神で留学生を日本人学生がしっかりサポートしている。今年入学した留学生たちも、しっかりと地域貢献をしてくれると思うし、その積み重ねが次の世代の入学希望者につながっていくと思う」と期待を込めた。
また、本市とインドとの交流は、山本啓介県議が2月10~16日にインド・バンガロールを視察で訪れ、長崎に進出の意欲を持つIT企業関係者、長崎への送客の企画を考えている観光関係者、壱岐などでの撮影に興味を持つ映画関係者らと意見交換を実施。その縁から8日には在大阪インド総領事館のトンコマン・ アームストロング・チャンサン総領事が壱岐を訪れ、同校のインド人留学生を激励。白川博一市長、大﨑義郎壱岐振興局長らと人材・観光交流などについて話し合った。6日にはインド人の本県留学を仲介する企業「シルバーピークグローバル」の関係者が県庁を訪れて意見交換。スバ・バッタチャン代表が県内に留学しているインド人学生について「できるだけ県内で就職させたい」などと今後の方針を語った。
人口減少が深刻な問題になりつつある本市にとって、同校のインド人留学生らが介護福祉士不足の解消に寄与する可能性があるばかりか、壱岐とインドの架け橋となって本市の振興にも大きく関わっていくことも期待される。新入生は早速、前期の授業がスタートしており、介護総合演習、機能的解剖学、医療的ケア、生活支援技術、コミュニケーション技術など15教科の授業と、57日間の介護施設での実習を行い、平成32年1月に介護福祉士の国家試験を受験するが、学内の模擬試験で80%程度の正答率がなければ受験をさせないなど、厳しい勉強の毎日が待っている。
【第2期新入生】(日本人のみ)▽介護福祉科 大久保裕仁、清川貴弘、小水萌、森岡彰斗、柳川絢音、山川翔平▽佐世保高等技術専門校入校生 江口大地