やや古いデータだが、観光庁が昨年2月に発表した訪日客への調査で、「旅行中に困ったこと」の1位は「施設などのスタッフのコミュニケーション」で32・9%、2位は「無料公衆無線LAN環境」の28・7%だった。
いまやほとんどの旅行者がスマホ、モバイルノートパソコンを携帯している時代。公衆無線LANが整備されていれば、1位の「コミュニケーション」もかなりの部分が解消される。だが日本のその整備普及率はイギリス、フランス、ブラジル、中国などと比べて大きく遅れており、2020年東京五輪までにどれだけ整備できるかが、観光客満足度を大きく左右することになりそうだ。
本市は「インターネットタダの島」をスローガンにして100か所以上のフリースポットを提供しており、FREESPOT協議会の「フリースポットMAP登録数」は市区町村で全国2位。九州郵船博多便のフェリー、ジェットフォイルでも利用できるようになったが、コンビニやファストフード店でWi‐Fiを利用できる都市部と比べるとまだまだ不便な点が多い。
まず改善すべきなのは観光客、市民ともに利用が多い市庁舎、フェリーターミナル、壱岐の島ホールだろう。フェリーターミナルはフリースポットが設置されているが、郷ノ浦、石田港は入りが悪い。それは壱岐の島ホールも同じで、4つの会議室を含めて6か所に設置されているはずなのに、試すとほとんど接続できない。市庁舎は4庁舎とも利用できず、観光客が訪れる観光連盟が入居する建物も未設置だ。
市は一時、フリースポット設置に熱心に取り組んでいたが、いまは新設がほぼ行われていない。「インターネットタダの島」をPRするには中途半端な状況だ。政府は2日、新たに導入する国際観光旅客税の使い道としてWi‐Fiの整備やトイレ洋式化などを20年までに準備する関連法改正案を閣議決定した。この機に本市も整備促進を進めてもらいたい。