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原子力規制委と意見交換会。「住民は不安」、白川市長ら訴え。玄海原発3号機16日燃料装填へ。

原子力規制委員会(NRA)の更田(ふけた)豊志委員長(工学者=原子炉安全工学、核燃料工学)と山中伸介委員(工学者=原子力工学、核燃料工学)が11日、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の現地視察を行い、その後に佐賀県オフサイトセンター(唐津市)で白川博一壱岐市長ら地元自治体関係者と全国初の意見交換会を行った。原発周辺自治体の首長らから現状への不満、不安や要望を直接聞いた更田委員長は「地元の住民が再稼働にどのような不安を持っているのかを直接聞くことができた。NRAを含め関係省庁、九州電力の努力がまだ足りていないと感じた」と話した。

11日午前に行われたNRAによる玄海原発視察は、重大事故が発生した際の「代替緊急時対策所」や新規制基準に基づいて去年11月に設置された「フィルタコンテナ」と呼ばれる火山灰対策装置、「中央制御室」などについて、九州電力・瓜生道明社長らから説明を受けた。NRA委員長が玄海原発を視察するのは初めて。九電はこの視察を受け同日「15日までに必要な検査を終えれば、3号機の再稼働に向け16日から原子炉に核燃料を装填する作業に入る」との計画を明らかにした。装填は4~5日で完了し、作業が順調に進めば1か月前後で再稼働する見通しだ。

更田委員長は視察の印象について「重大事故等対策の設備を見て回ったが、(再稼働目前の)この時点で設計、設備がどうかという段階ではない。むしろ長期間にわたって運転停止していたことで、従業員の緊張感がどうなのかという点に注目した。その意味で、九電の決意、やる気を感じることができたので満足だった」と語った。だが同日午後に開かれた周辺自治体(佐賀県、玄海町、唐津市、伊万里市、長崎県、松浦市、佐世保市、平戸市、壱岐市、福岡県、糸島市)の首長ら22人との初めての意見交換会では、従来から再稼働に対して反対姿勢を示している白川市長らから厳しい質問、要望が相次いだ。

白川市長は「委員長は重大事故のリスクはゼロではないと正直に話してくれているが、ゼロでなければ住民の不安は払拭されない。九電などから示されている安全対策の文面は難解で、市民が十分に理解することは難しい」とした上で、5点の質問をした。

①UPZ(原発から概ね30㌔)は同心円で示されているが、壱岐からは海を隔てて原発が目視できる。地形などを考慮して設定すべきではないのか。
②現在の避難計画は島内で30㌔圏外へ避難するものだが、40㌔以上には逃げられない。離島なりの対策が必要ではないか。
③九電は重大事故が起きても放射性物質の放出量は福島第一原発事故の千分の1、2千分の1と主張している。それが本当ならUPZ地域の見直しをすべきではないか。
④放射性廃棄物処理には様々な問題が出ている。核燃料サイクルができるようになってから再稼働すべきだ。
⑤UPZ内の要支援者をどのように安全に避難させるか、屋内退避させるかなど、明確な基準を設けて欲しい。

これに対し更田委員長は、①②は「非常に難しい。重大事故という火事場において、退避判断はできるだけシンプルなものにしたい。エリアを複雑化したくない。全体をUPZに入れることは離島の特殊性を考慮することにはならず、デメリットも多い。離島オリジナルの退避行動は、誰が判断するのか、判断する人にすべての情報を集められるのかなど、権限と責任が伴う。離島だけでなく各地にそれぞれの特殊性があるので、杓子定規な30㌔という判断は、現時点では一定の効果があると考えている」と説明した。

③については「セシウム換算で福島の千分の1とか2千分の1というのは、安全対策が成功した場合の話であり、これで止まると考えること自体が安全神話だ。どの程度の脅威と考えればいいのかを定量化するのは難しい。福島では『たぶん大丈夫だろう』という現状維持願望で失敗し、その深刻な反省の上にNRAが設立された」と九電の説明に対して否定的な考えを示した。

④については「再稼働するかどうかは国の推進主体と電力会社が判断すること。縦割りと言われるかもしれないが、それぞれが責任を持って判断しなければならない。使用済み核燃料の最終処分についてNRAでは検討していない。資源エネルギー庁が真摯に答えるべきことだ」とした。

⑤については「福島では、要支援者を施設から退避させたことで、十分な支援が受けられずに被害を増大させた。まずは屋内退避が重要ではあるが、要支援者を介護、看護する若い人たちがいる。(今後子どもを産む可能性もある)若い女性と子どもは被爆から優先的に避難させる必要がある。守るべき人たちをどのように守るのか、これまであいまいな部分が多かったが、より実効性があるものにするためにNRAも内閣府と議論を続けていきたい」と今後の課題とする考えを明らかにした。

意見交換会を終えた白川市長は「忌憚(きたん)のない意見交換ができ、とても有意義な会合だった。放射性物質の放出量について安全神話だと言ってくれたことで、今後のよりきめ細かな対策に期待ができる。要支援者を支援する人の避難についても、新たな取り組みを考えさせられた。多くの自治体から安全対策の説明が難しいという意見が出たことで、市民が納得できるような判りやすい説明が今後されることを期待したい」と話した。

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