壱岐ウルトラマラソン男子50㌔は、昨年2位だった早田太一さん(23=対馬市)が2位以下に33分以上の大差をつけて楽勝し、昨年の雪辱を果たした。
「昨年は後半にバテて40㌔くらいから歩いてしまった反省から、今年は前半を抑えた」とは言うものの、スタートから15㌔地点の原の辻復元公園では、早くも2位以下に10分近い大差をつける軽快な走り。100㌔の選手たちが近くに数多く走っていたが、「後続の位置はしっかりと確認していたし、昨年の経験でコースの特徴もつかめていた。調子も良かったので20㌔付近ではもう大丈夫と思っていた」と前半で早くも優勝を確信していた。多少のコース変更はあったものの、タイムは昨年の3時間42分50秒から20分以上短縮する3時間21分23秒。昨年優勝の澤水亮吾さんの3時間37分07秒も大きく超えた。「しっかりと昨年のリベンジが果たせたので、来年は100㌔に挑戦してみたい」と意欲を語った。
100㌔の川下さん、正路さんに続いて、50㌔でも金丸智彦さん(壱岐市役所)が5位、堤康平さん(光風)が6位と、地元勢2人が入賞を果たした。また地元勢の完走者は100㌔が昨年の5人(女子1人)から17人(女子なし)、50㌔が16人(女子3人)から41人(女子6人)と大幅に増加しており、大会開催が壱岐の長距離界のレベルアップに大いに貢献していることを裏付ける結果となった。
女子50㌔はウルトラマラソン、フルマラソンでも数多くの優勝経験を誇る松本久昌(ひさよ)さん(39=東京)が、評判通りの超人的な走りを見せた。男子優勝の早田さんからは約30分遅れたものの、3時間52分50秒のタイムは男子も含めた50㌔の中で2番目のゴールとなった。フルマラソンでは京都、沖縄などで優勝。日本トップクラスが出走する別府大分毎日マラソンでも3、4位の成績。ウルトラでは昨年のサロマ湖を7時間39分51秒で優勝している。「離島のレースで走ってみたかった」と壱岐ウルトラに出走し、きっちりと結果を出した。「給水所での中学生たち、沿道の市民の応援が、本当に嬉しかった。とても良い大会でした」と笑顔を見せた。夕方の飛行機での帰京だったためレース後は準備に慌しく、表彰式には出席できなかったが、「できれば来年も来たいです」と来年は100㌔出走への可能性もにじませた。
昨年の50㌔女王の佐藤永子(ひさこ)さん(39=東京)は、大会特別協賛のレオパレス21陸上部所属とあって、多くの仲間が応援に駆けつけた。松本さんには及ばなかったものの、4時間16分43秒は昨年のタイムを9分近く更新する立派な記録で、3位以下を30分近く引き離して2位を確保した。レース後は「調子が悪くて、自分の走りができなかった。それでも沿道の声援のおかげで、完走することができた」と悔しさと嬉しさが入り混じった涙で、レースを振り返った。