第66回“社会を明るくする運動”作文コンテスト(法務省“社会を明るくする運動”中央推進委員会主催)の入賞作品がこのほど発表され、全国の最優秀賞にあたる法務大臣賞小学生の部に、柴田嘉那子さん(志原小学校6年)の「大切な魔法の言葉」が選出された。
同コンテストは小中学生を対象に、日常の家庭生活や学校生活の中で体験したことを基に、犯罪や非行に関して考えたこと、感じたことをテーマに作文を募集。平成5年に始まり、今回は24回目で、全国から32万9994点(小学生13万9647点、中学生19万347点)の応募があった。法務大臣賞は小学生、中学生各1点だけで、柴田さんの作品は小学生の中で全国最優秀と認められた。本市の児童の法務大臣賞受賞は初めての快挙だった。
柴田さんは「ビックリと嬉しさと半々な気持ち。いろいろな表現に苦労して、書くのに3か月くらいかかったが、担任の平山和茂先生が相談に乗ってくださり、書き上げることができた。小学校生活の最高の思い出になった」と喜んだ。
柴田さんの妹・和嘉子さん(志原小3年)は昨年11月に第45回長崎県読書感想文コンクールの小学校中学年の部で最優秀を獲得しており、姉妹揃っての殊勲。「家族みんなで喜ぶことができて良かった」と話した。
この受賞に対して、2月7日には県教育長表彰の「学校文化活動等奨励表彰・個人の部」も受賞。同日は壱岐市役所に白川博一市長を表敬訪問し、受賞を報告。白川市長は「私たち大人でも、誰もいない家に帰るのは寂しい。“おかえり”という言葉はまさに魔法だと思う。柴田さんは図書室で百冊以上の本を借りて読んでいると聞いた。いろいろな世界を知るためにも、ぜひ読書を続けて欲しい」と柴田さんの更なる成長を期待した。
柴田さんの両親は以前に児童自立支援施設の寮舎運営をしていたため、柴田さんは生まれた時から5歳まで、この寮で入所者と一緒に生活していた。入所当時は人間不信などからとげとげとしていた部分もあった入所者が、次第に仲間の存在に心が和んでいき、柴田さんの誕生、成長を喜び、応援するようになった。
そんな入所者が外から帰ってきた時に、柴田さんは一番最初に玄関に出て「おかえり」の言葉で出迎えた。「私が“おかえり”と言葉をかけると、お兄ちゃんたちの眼や心が、柔らかくなっていくことを感じ、これは魔法の言葉だと思った。私もお兄ちゃんたちの“ただいま”という言葉がすごく嬉しかったのです」と当時を振り返った。
柴田さんは、引っ越したことで電話や手紙のやり取りが少なくなった元入所者に、いまも「おかえり」と言葉をかけてくれるような良き理解者がいるかどうか心配するとともに、作文の最後を「どんな時も、忘れずに、これからも大切にしたい魔法の言葉“おかえり”が、たくさんの人に大切に思ってもらえることを願います」と結んだ。
柴田さんは「幼い頃の経験だったが、いまでも大切に心に刻まれている。1つの言葉、表情で、人間の心はつながるもの。だから私はいつも笑顔で人に接することを心掛けている。そうすると友だちも笑顔で返してくれる」と満面の笑顔でインタビューに答えた。