本市では6月29~30日の「50年に1度の記録的大雨」に続いて、6日午前0時から午前6時までの6時間に芦辺町の測候所で250・5㍉の降水量を記録し、長崎地方気象台は再び「壱岐市で50年に1度に大雨になっている場所がある」と記録的短時間大雨情報を発表した。1週間前の豪雨で地盤が緩んでいた箇所が多かったことから、本市では崖崩れ、道路冠水により計15か所の県道・市道が通行止めとなり、勝本小学校近くの市道は幅約30㍍、深さ約3㍍にわたり道路が陥没するなどの被害をもたらしたが、人的被害は出なかった。
道路が陥没したのは勝本町坂本触の県道231号から勝本小学校へ向かう市道横山線。6日午前10時過ぎ、同線を自動車で通行していた同町の自営業、下條明博さん(49)が、アスファルトが割れているのを発見。非常に危険だと判断して、SNSで情報を拡散した。
この投稿を見た赤木貴尚市議が市へ連絡。市はすぐに通行止めの措置を行った。道路はその後、一気に崩落した。下條さんは「通行しようとしたらアスファルトがバキバキと音を立てたので、危険を感じて車をバックさせたら、その後に崩れた。危ないところだった」と陥没の様子を振り返った。
投稿を市職員、市民らが多くフォロー、シェアしたことで情報が拡散したこともあり、人的被害は免れた。だが同線は勝本小学校児童の通学路になっており、スクールバスや父母による児童の送迎などにも日常的に通行しているだけに、陥没が通学下校時間に重なっていたら大惨事になっていたことも考えられる事態だった。
勝本小学校は6日午前中に授業を取り止め、児童を保護者に引き渡した。7日からはう回路を使用し、通常通り授業を開始した。
長崎地方気象台によると、芦辺測候所での6日の日降水量362・5㍉は、2009年7月24日の313・0㍉を上回る1977年の観測開始以来最大を記録した。6月30日の豪雨は185・0㍉だった。日最大1時間降水量は90・0㍉で、これは6月29日の120・0㍉を下回ったが、歴代8位の記録となった。
市危機管理課が7日午後7時までにまとめた被害状況は、道路災害が土砂崩れ5件、倒木1件、陥没3件、道路冠水4件の計13件。11日現在、9か所で交通規制が続いている。床下浸水4件(住宅3件、店舗1件)、林地災害1件だが、農作物には水没などにより深刻な被害が出ており、今後調査が進むに従って被害規模は大きく拡大することが予想されている。
6日午前2時23分に壱岐地方に大雨・洪水警報が発令されたのに伴い、市は午前3時23分に勝本町と芦辺町、午前4時に市内全域に避難準備情報(高齢者等避難開始)を発令(午後4時解除)。避難所への避難者数は最大で2か所に14世帯19人となったが、いずれもその後、帰宅した。
また、一時的に携帯電話に通信障害が発生し、携帯電話からの110番、119番通報ができないなどの障害が出たが、間もなく解消した。