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備蓄毛布たったの175枚 本市の防災に様々な課題

4月14日の「前震」から始まった一連の熊本地震は約1か月が経過したが、熊本県では9日の時点でまだ約1万4千人が避難生活を送っている。避難所となっていた小中学校の授業再開に伴い、避難所の移動を余儀なくされたり、車中での生活でエコノミークラス症候群を発症し入院した人が約50人になるなど、災害時の避難所のあり方が改めて問い直されている。熊本県の宇土市、八代市、益城町など5市町の庁舎は使用不能で罹災証明交付などの業務に支障が出ており、各自治体は今後の防災対策について根本から考え直す必要が出てきている。
本市の地域防災計画は、災害時の緊急避難場所として市内64施設を指定している。このうち地震に際しての緊急避難場所は44施設で、いずれも「グラウンド・広場等の屋外とする」。耐震工事がすでに済んでいる建物であっても、地震発生直後は建物内に避難できない規定となっている。
熊本地震では寒い中、屋外で毛布に包まって夜を過ごす住民の姿がテレビで映し出されていたが、本市で地震災害が発生した際も、同様な覚悟が必要となる。
地震活動がやや落ち着いてからは指定された45施設の「避難所」で避難生活を送ることになるが、このうち耐震工事が行われていない施設が22施設と約半数を占めており、大地震発生時には実質的には利用不可能となる。残り23施設の大半は小中学校で、建物に被害が出なかったとしても、熊本地震のように避難生活が長引いた際には、授業再開が極めて困難になる。
指定避難場所については各戸に配布している「わが家の防災マニュアル」に記載されているが、耐震工事が終了しているかどうかの記載はされていない。市民はどこに避難すれば良いのか、困惑することが予想される。
もっとも深刻な状況なのは備蓄物資で、市が現時点で備蓄しているのは、防災食(白飯)1000食、毛布175枚、飲料水2㍑300本、簡易トイレ200回分、災害マット10枚に過ぎない。
市は国の指針に従って、避難者は人口の5%と想定して、3日分として防災食8500食、保存水6300本、毛布1400枚、簡易トイレ2万1000回分を備蓄目標数量としているが、備蓄を始めたのは平成27年度からで、防災食と保存水は平成32年度にならないと目標数量に達しない(使用期限5年間)。毛布は年度ごとに20枚ずつ、簡易トイレは200回分ずつ揃えていく計画で、このままだと目標数量に達するまでには数十年が必要となってしまう。
もともと国の指針自体が、離島の環境にはそぐわないものであり、近隣自治体からの支援がすぐには難しい離島で大地震が発生した際には、さらに多くの備蓄物資が必要であるはずだ。市が用意できていないのであれば、避難に際しては避難者自らが備蓄物資を用意して持ち出す必要があることを、市民に広報する必要がある。
庁舎建設問題で大きな話題になったように、本市の4庁舎はいずれも耐震改修が必要な状況にある。今年度から順次、工事着工が行われる予定だが、現時点で熊本地震級の災害があれば、4庁舎とも使用不能に陥る。住民投票の結果、庁舎建設は行われないことになったが、災害対策本部となる防災拠点を1か所だけでも早急に準備する必要がある。
白川博一市長は常日頃から「防災は行政最大の責務」と明言している。きょう起こるかもしれない災害に対して、準備のプライオリティ(優先順位)を明確にした対策が求められている。

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