社説

社説 イルカパーク運営見直しの好機

日本動物園水族館協会(JAZA)は20日、WAZA(世界動物園水族館協会)加盟継続の賛否を問う会員投票の結果を発表し、加盟継続99票、離脱43票で継続が決定。改善通告に従い、今後は和歌山県太地町の追い込み漁でのイルカ入手を止めることをWAZAに報告した。
JAZAに加入しているのは動物園89、水族館63の計152施設。このうち、太地町からイルカの供給を受けていたのは約30施設だった。今後はイルカの繁殖に力を入れていくことになるが、繁殖施設を持つ水族館は少なく、また技術的にも簡単ではなく、各水族館はイルカ導入に苦労することが考えられる。
マリンワールド海の中道(福岡市)で飼育されている21頭中11頭、しものせき水族館「海響館」の8頭中7頭が太地町から入手した個体であり、両施設は今後の導入に直接的な影響を受ける。
太地町からの6頭を飼育している勝本町の壱岐イルカパークは、佐世保市の海きらら(同町から3頭導入)と同様にJAZAに加盟しておらず、今回の決定には直接は関係ない。だが今後も同町から導入を続けていくことは、道義的に困難となる可能性がある。
同パークの水質問題は市議会一般質問でも何度か取り上げられているが、根本的な問題解決は難しく、水質悪化が続いている。それと相次ぐイルカの死亡の関連は不明だが、年1頭近いペースで死亡しているので、このまま新規導入ができないと、数年で施設は成り立たなくなってしまう。
また第2期観光振興計画策定のため市が行ったアンケートでも、イルカパークに対してはマイナスイメージの回答が目立った。はるかに立派な設備でイルカショーを行っている水族館は全国にある。規模の面では太刀打ちできないし、「壱岐らしさ」を打ち出すことも難しい。
これを機に、南島原市などで行っているイルカウォッチングを取り入れるなど、トレーナーの意見を聞き、イルカパーク運営方法の抜本的な見直しが必要ではないだろうか。

 

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