一支国博物館の第24回特別企画展「壱岐ゆかりの芸術家たち展」が3月20日から1階テーマ展示室で始まった。4月19日まで。入場無料。
同展は、昨年夏、郷ノ浦町出身の洋画家・深見隆さん(平成19年没、享年80歳)の遺族から壱岐市に、作品54点が一括寄贈されたことを記念して企画された。寄贈作品の中から代表作である「石紋(環)」など油絵7点、スケッチブック、絵の具セットなど絵画道具4点を展示。
また同時に、壱岐市出身の芸術家、小金丸幾久、山口幹雄、澤英二、平田明、永富鐵行、坪井賀子、日高大三の立体物、油絵計14点も展示し、先人たちが創り上げた壱岐の芸術を鑑賞する企画展とした。
深見は大正15年(1926年)生まれ。昭和23年に上京して画家を志し、27年に第7回行動美術協会展に半抽象的な表現による「造船所」が初入選。以後、同展で新人賞など受賞し、同協会会員となった。35年に第4回安井記念賞を受賞した「風化」は荒波と強風にさらされながら忍耐強くかつ厳かにたたずむ壱岐の海の岸壁を抽象的に表現したもので、以後の「石紋シリーズ」などの作品も同様のテーマで多く制作された。
河合恭典学芸員は「壱岐出身の芸術家の企画展は5年ぶり。島の子どもたちに偉大な先人たちがいたことを知ってもらいたかった。また壱岐高校美術部などの作品を見ていると、高校生はダリなど抽象画に深い興味を持っているようなので、深見さんの作品は刺激になるはず」と話した。