市議会庁舎建設特別委員会(鵜瀬和博委員長)の第1回会議が19日、勝本町の市議会議場で開かれ、白川博一市長(64)が新庁舎の建設予定地を郷ノ浦町の「大谷公園ゲートボール場付近」と初めて明言した。市庁舎建設検討委員会(菊森淳文委員長)の答申で「候補地」として選定された勝本町立石東触亀石地区、芦辺町旧那賀中学校跡地付近については、それぞれ庁舎建設には適さない要因があるとして除外した。今後、委員会で市長の提案について論議し、建設の正式な是非、建設の場合は場所の決定、規模・機能などの基本構想を来年3月末までにまとめる。
委員会の冒頭、白川市長は「合併特例債を活用するためには、平成30年度末までに完成させなくてはならない厳しいスケジュールとなる。あらゆる事項と関連し、もっとも論点となる場所について、私の考えを申し述べる」と注目の建設地について言及した。
答申で候補として挙げられた亀石地区については「4町の合併協定項目事項として新市事務所の位置に挙げられているが、隣接地には国指定遺跡の双六古墳があり、庁舎を建設できるのかを考慮しなければ。景観への配慮や3~5か月の試掘調査が必要と考えられる。また土地は高低差が15㍍あり、造成には相当な時間と費用が必要になる」など建設不適の理由を挙げた。
また、委員会では15人中8人が推薦した旧那賀中跡地についても「ほぼ市中央部に位置するが、一部に用地買収を困難とする私有地がある。高低差が3・2㍍あり、造成が必要。また亀石地区と同様に付近に他の官公庁がない。地方自治法第4条第2項の規定で、事務所の位置を変更するにあたって住民の利用にもっとも便利であるように交通事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を図らなければならない、と定められている」など課題を挙げ、「他の候補地を検討する必要があると考えた」とした。
その上で「市民の利便性を最大限に考慮、土地取得などの費用を抑えることを考えると、委員会で挙げられた7候補地から亀石、那賀の2か所を除いた5候補地のうち、大谷公園ゲートボール場付近がこの要件を満たすという考えに至った」と語った。
その根拠として市有地1万2700平方㍍と十分な広さであること、官公庁に比較的近いことに加えて人口の分布割合を挙げた。「人口分布を基に算定される人口重心は、公共施設の適正な配置、民間事業者の合理的出店計画に利用される。平成22年国勢調査に基づく壱岐市の人口重心は、芦辺町住吉山中公民館付近となる。ここを中心に市有地、住民の利便性を考慮すると、5候補地の中で大谷がもっとも適していると判断した」と説明した。
また、船を利用しなければならない三島地区住民への配慮、大谷公園にはすでに250台分の駐車スペースがあることなども根拠の一つとした。
さらに、建設予定地にあるゲートボール場は、全天候型多目的施設を旧那賀中学校グラウンド跡地に新たに建設、高等職業訓練校は現郷ノ浦庁舎に移設するプランを披露。大谷に新庁舎が建設された場合は三島航路ターミナルや市民病院などと結ぶ循環コミュニティバスを1時間に1本程度運行する計画も示した。
市長の提案に対して鵜瀬委員長は「十分な調査、研究が必要なので、協議は次回の委員会で行う」として、第2回会議を1月16日に開催することを決めた。市長が建設場所を示したことで、建設に関しての具体的な議論が急速に進みそうだ。