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超人たちが壱岐路を疾走。第4回壱岐ウルトラマラソン

第4回神々の島・壱岐ウルトラマラソン(同実行委員会主催)が19日、壱岐島一周特設コースで開催され、100㌔に414人、50㌔に206人、昨年より35人少ない計620人が出場した。18日夜は激しい降雨となりコンディションが心配されたが、大会当日は朝方に多少の雨が残り、風も最大瞬間風速11・0㍍とやや強かったが、最低気温18・3℃、最高気温22・3℃と概ね良好な気象条件での開催となった。100㌔は完走282人で完走率68%、50㌔は179人で87%。完走率は昨年と比べて100㌔は5ポイント減、50㌔は同率だった。100㌔は男子の飯干守道さん(38=福岡)、女子の安曇樹香(あずみ・このか)さん(30=埼玉)がともに壱岐ウルトラ初出場で優勝した。

ウルトラ初挑戦。飯干さんが後半逆転!

100㌔は驚異のハイペースでレースが進んだ。スタートから飛び出したのは一昨年の50㌔を圧勝した早田太一さん(対馬市)。20㌔1時間18分03秒、40㌔2時間36分14秒、中間点の50㌔は3時間15分24秒。一昨年の早田さんの50㌔優勝タイムは3時間21分23秒だったので、これを大きく上回る前半50㌔の通過タイムとなった。あまりの速さに、各給水所の通過予定時間より前に通過して行ったため、給水・食料の提供や交差点での立哨が間に合わない事態も生じてしまった。

さすがにこのハイペースでは、早田さんも最後までは保たなかった。足を痛めて60㌔過ぎからペースダウン。一時は2位以下に18分程度の差をつけていたが、みるみると後続との差が詰まり、原の辻復元公園内で捉えられ、代わってトップに立ったのが冷静に2番手からレースを進めていた飯干さんだった。

飯干さんは「トップを走っていた選手がかなりハイペースだとは判っていた。優勝を狙っていたので、追いかけるべきかどうか迷った部分もあったが、当初決めていた1㌔4分10~20秒のペースで走ることに徹した」とマイペースを貫き、2位に30分近い差をつける7時間40分52秒で優勝した。

飯干さんはマラソンで2時間21分54秒のベストがあるなどフルマラソンで活躍をしていたが「年齢を重ねるにしたがって、フルマラソンでは記録が伸びないようになった。若い人たちに勝つには距離を延ばした方がいいのでは」と3年前から地元に近い山口県で開催されているJAL向津具ダブルマラソン(84・5㌔)に挑戦。今年8月の大会は6時間26分31秒で優勝した。

100㌔のウルトラマラソンは今回が初挑戦。飯干さんは「前半は猿岩や海岸線など壱岐の素晴らしい景色を存分に楽しみながら走ることができた。でも終盤はしんどかった。84キロ以降の未経験の16㌔は地獄だった。特に最後の上りはきつかった。優勝できたのは嬉しいが、内容としては良くなかったし、大会記録(7時間24分42秒=第3回川下和明さん)にも及ばなかったので、また挑戦したい」と来年の再挑戦を誓った。

女王の風格。安曇さんが圧勝!

女子100㌔は安曇さんが圧巻の走りを見せた。男子に混じってスタートから上位グループで疾走を続け、50㌔の通過は3時間56分47秒。昨年の女子50㌔優勝者のタイムが4時間38分10秒だから、前後半でコースは違うものの、それよりも40分以上速いペースだった。だが安曇さんにとっては予定通りのペース。昨年のサロマ湖ウルトラでは7時間47分07秒で一般優勝、今年は陸連登録選手として7時間53分30秒で3位に入っており、壱岐でも7時間台でのゴールが目標だった。

後半は失速した男子選手を次々に交わして、男子優勝の飯干さん、2位の澤水亮吾さん(34=福岡)に続く全体3位となる8時間12分29秒で優勝した。2位の東美香さん(44=福岡)のタイムが9時間34分32秒だったので、1時間20分以上の大差。昨年、その東さんがマークした大会記録は9時間39分23秒、第1回大会のゲストランナーとしてオープン参加した女子ウルトラマラソン第一人者の望月千幸さんのタイムが9時間2分14秒で、いかに安曇さんのタイムが傑出しているかが判る。

しかも安曇さんの場合、本職はトライアスロンで、これまで数多くの大会に優勝し、海外でもウルトラマン・トライアスロン520㌔カナダで2位になるなど活躍している。トライアスロンのオフシーズンのトレーニングとして始めたウルトラマラソンでも次々に大会制覇を続けている、まさにロング界のヒロインだ。

安曇さんはゴール後、「8時間を切れなかったことがとにかく悔しい。離島のレースは伊豆大島や沖縄で経験していたが、どこよりもアップダウンがきつくて、風も強かった。初めてのコースだったので前半は抑えめにしたが、90㌔からの10㌔でタイムを落としてしまった」と悔しそうな表情を浮かべた。

それでも「どこを走っていても、地元の人たちの温かい声援に背中を押された。歴史を感じる島で、景色も素晴らしく、タフなコースも走りがいがあった。来月はヨルダンで行われるIAU100㌔アジアオセアニア選手権に日本代表として出場するので、そのための元気ももらえた」と早くも次戦を見据えていた。

 

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