市は5日、市立特別養護老人ホーム及び附属デイ・サービスセンター(ともに勝本町本宮南触)の「移管に関する基本協定締結式」を、プロポーザルで移譲先に決まった仮称「社会福祉法人壱心会」(岩永城児代表)との間で行った。両施設は10月1日に同会に移譲される運びで、市議会6月会議で正式に決定する。
同会の母体となる「学校法人岩永学園」は長崎市で「こころ医療福祉専門学校」(7学科)、佐世保市で「同校佐世保校」(2学科)などを運営。またホームヘルパー2級講座、介護技術講習会、職業訓練などの社会人向け資格取得の介護員養成研修を、離島を含む県下全域で実施している。本市でも平成22年度からこれまでにホームヘルパー2級154人、介護技術講習会83人、初任者研修26人、職業訓練20人の実績がある。
移譲後、両施設を引き継ぎ運営。30年度末までに、市から無償譲渡される勝本ゲートボール場(勝本町布気触、面積5200平方㍍)に新施設を建設。ユニット型70床、多床室30床、短期入所施設20床、デイサービスセンター定員30人の施設を設置する。幼老複合施設の可能性についても検討している。
同時に、市内の介護人材の育成を目的に、介護福祉士養成校(専門課程2年制、定員40人)の設置を決めている。開校には厚労省、県の認可が必要となるため正式なスケジュールは今後決定するが、同会は平成29年4月の開校を目指している。同校の校長には壱岐高校前校長の廣瀬典治さん、施設長には同校元事務長の岡田高明さんの就任が予定されている。
締結後の記者会見で白川博一市長は「プロホーザル応募の3社は甲乙つけ難かったが、専門学校の開校計画で、すでに姉妹校を持つ同会のインパクトが大きかった。介護福祉士は全国で不足しているし、1学年40人の募集規模は壱岐の高校生の進学先となるばかりか、全国から離島留学生の受け入れ先ともなる。国の政策にマッチした地方創生の大きなプロジェクトだ。市も最大限のバックアップをしたい」と期待の大きさを語った。
岩永会長は「グループの身上である“思いやりと創造”“こころの教育”でキャリアアップ・育成、地域振興に務める。専門学校設立の際は奨学金制度を創設。高校生の進学費用負担を軽減し、人材の島外流失を防ぐ役割を果たしたい。専門学校、新設する特養ホームなどでは計百人規模の職員・スタッフとなり、現在の特養ホームなどのスタッフ60人に加えて新たな雇用が創出される」と壱岐市の振興に貢献していく考えを示した。
専門学校設置場所は「旧鯨伏中学校校舎を活用できればありがたい」(岩永会長)と話し、白川市長も「耐震改修を行って提供したい」と応じた。
本市にとっては老人福祉の充実、介護人材の育成、定住・交流人口の拡大など、様々な効果が期待できる同会への特養ホーム移譲となる。