国立社会保障・人口問題研究所が昨年12月に発表した地域別将来推計人口で、本市の2050年人口は1万3199人と予測された。
20年国勢調査の人口は2万4948人。23年12月末の住民基本台帳による人口は2万4357人だが、島外の大学に進学した人などは住民票を移動していないケースが多く見られるので、実質的な本市の人口はすでに2万3千人台であることが推測される。
推計人口によると、これから毎年400人程度が減少し続けることになる。特に子どもの減少が顕著で、2022年の出生数は107人だったが、23年は集計が終わっている10月末時点で83人。年間100人を維持できているかどうか微妙な状況となっており、24年は100人に満たないことが濃厚だ。
前号に掲載した白川博一市長のインタビュー記事の中で、白川市長は「高額な予算が必要となる水道管補修工事を考えると、現在の散村状況を維持してくことは難しく、将来的には住居を拠点に集中させるスマートシティ化が必要ではないか」と語っていたが、まさに正論だ。
高齢者にとって住み慣れた家を手放すのは耐え難いことだろうが、主要管だけでも延長500㌔、さらに引き込み管まで加えるとその2倍近くになる水道管を維持していくのは、人口が減少を続ける自治体の力では不可能に近いと思われる。
現在は漏水がひどい部分だけ補修工事を行って何とかしのいでいるが、十数年後には漏水補修も手に負えなくなっていくのではないか。そこを見越して「壱岐の未来予想図」を描いていくのが政治家の務めだろう。
4月の市長選へ向けて様々な立候補の動きが出てきているが、小学校統廃合の問題やスマートシティ化に関して具体的な構想を示している立候補予定者はいまのところ見られない。どちらも市民に好感を持たれるとは限らない施策だけに争点にはしたくないのかもしれないが、将来の壱岐市のためにぜひ踏み込んだ議論を戦わせてもらいたい。