交通事故や病気で幼くして死ぬ命をなくそうと、野良猫を捕まえて不妊去勢手術を施した後に元の場所に戻す壱岐初の地域猫活動(TNR)が3~4日、芦辺町の民間空き施設で行われ、両日で152頭(オス65、メス87)に手術が施された。
大村市の特定非営利活動法人「アニマルレスキューハッピーりぼん」(田崎直美代表)が実施。本市の犬猫保護団体「壱岐島わんにゃんお守り隊299」の会員や市民ボランティアが受付や会場の設営などサポートし、手術は島原市の民間動物病院の獣医師が行った。ハッピーりぼんは今回のTNRに向け、今年3月にクラウドファンディングを実施し、全国から456万1千円が寄せられていた。
手術当日は、申込者があらかじめ捕獲していた野良猫をゲージに入れて施設に持ち込み、麻酔後に順次手術が行われた。
手術後には不妊去勢手術をした証として、片耳にV字の切れ込みが入れられた。切れ込みがサクラの花びらに見えることから「さくら猫」と呼ばれる。
郷ノ浦町の30代女性は、近くの住民が亡くなり、空き家となった建物に棲みついていた猫7頭を申し込んだ。女性は「人間のわがままでこうなってしまって、私にもに何かできないかと思いました」と話した。
団体代表「命に優しい街づくりを」
田崎代表(53)は「過酷な環境で生きる猫を減らせる手伝いができてよかった。申し込みが殺到するなど、不妊手術への関心の高さを感じた。人として小さな命を捨てるということがない優しい街づくりをしてもらいたい。壱岐でも目の前の猫たちを救う仕組みづくりをしてもらえれば」と話した。
お守り隊299の松嶋代表(49)は「団体設立時からTNRが目標だったので、会員一同喜んでいる。定期的に実施するなど継続していきたい。民間だけでは限界があり、行政と協力して取り組んでいきたい」とした。