本市初の専門学校として2017年4月に開校した学校法人岩永学園・こころ医療福祉専門学校壱岐校(中野勝校長)の第1回卒業証書授与式が5日、芦辺・つばさで行われ、第1期生として入学した14人(日本人6人、ネパール人4人、インド人4人)全員が2年間の学習で介護福祉士の国家資格を取得し、卒業した。卒業生のうち壱岐出身の日本人6人とインド人1人は、市内の介護施設に就職が決まっており、将来的に深刻な人手不足が心配されている本市の介護福祉行政にとって大きな戦力になると同時に、若者の島外流出防止の役割も果たす。
卒業式は、西村楓さん(20=壱岐商出身)が代表して卒業証書を受け取り、中村大祐さん(20=壱岐高出身)が卒業生代表答辞で「先生に教わったことで最も印象に残っているのは、利用者は介護士を選ぶことができない、という言葉だった。どの利用者を担当しても、『あなたに担当してもらって良かった』と思ってもらえるような介護士にならなくてはいけない。一期生の名に恥じないように、就職先で頑張る」と今後の決意を語った。
中村さんは「人生で一番勉強した2年間だった。先生を信じて勉強し、国家試験に合格できた。介護福祉士になるのがずっと目標で、この学校の開校を知る前は、福岡の専門学校に行くつもりだったが、祖父、祖母の面倒を看るため壱岐に残りたいとも思っていたので、理想が叶えられた。この学校に進学して本当に良かった。卒業後は光風にお世話になるが、学校や実習で学んだ技術面、精神面を活かして、信頼される介護士になりたい」と2年間の学校生活を振り返り、決意を新たにした。
中野校長は「壱岐で初めての専門学校で、すべて0からのスタートだったが、1期生の頑張りで一歩を歩み出すことができた。0から1までの距離は、1から千までの距離よりも長いと言われている。0から1の道しるべを作ってくれた14人の前途が輝かしいものになると信じている」と言葉を贈った。外国人留学生は母国からの奨学金などの関係で7人は卒業後、母国に戻って介護福祉士になるが、インド人1人は今月16日に開所する岩永学園グループの特別養護老人ホーム「壱岐のこころ」に就職する。
岩永城児理事長は「日本人全員が壱岐市内に就職してくれたので、その活躍ぶりが今後の市内入学生増加につながってくれると思っている。外国人の1人はすっかり壱岐が気に入って、残ってくれることになったのも嬉しい。母国に帰る留学生たちも、今後のインド、ネパールと壱岐の架け橋になってくれるだろう。最初は、いろいろと環境も違うし、壱岐に馴染んでもらえるのか心配したが、地域の人たちの助けもあって、みんな学生生活もアルバイトもすごく評判が良かった。今後の留学生たちが来やすい環境を整えてくれた」と感謝した。
インド人留学生の入学がきっかけとなって、本市にインドIT企業数社がサテライトオフィスを設置する計画が進んでおり、国際交流の動きにもつながっている。国際色豊かな卒業式後、生徒たちは国籍に関係なく流暢な日本語で別れを惜しみ、SNS用の写真を撮り合った。単に介護士不足の解消だけでなく、同校は様々な波及効果を本市にもたらしている。