10月30日に壱岐市自治基本条例を見直す第2回審議会が開かれた。関係団体代表、専門家、18小学校区の代表も加わり、委員総数は30人。市民が自らの手で作る住民自治の「憲法」なのだから、より幅広い意見を聞く必要はあるが、実務的な議論は委員が分散参加している専門部会で行われているとはいえ、さすがにこれだけの人数での審議会となるとなかなか議論がまとまらない。条文の言葉遣いや句読点の位置など細かい指摘も多く、「自治基本条例はどうあるべきか」「現在の条例のどこに問題があるのか」という根本的な部分にまで議論が及んでいない印象を受けた。
自治基本条例は、名称の違いはあるが、これまで全国で400以上の地方自治体で制定されている。市民の権利(生活権、市制への参加権、情報公開請求など)と義務、市(首長、議会、職員)の義務・責務などは、どの自治体の条例も大差はない。
この条例に最も必要なのは、市民が壱岐市をどのような島にしていきたいのか、という目標を掲げ、そのために市民は何をしていくべきなのかという点を、誰もが判りやすい文章にしていくことではないのだろうか。
自治基本条例の条文は市ホームページにも掲載されているが、これは他の市条例と同じ「お役所文書」であり、多くの市民が読みたいと思うものではない。平成30年の条例制定時には判りやすく説明したパンフレットが住民に配布されたが、このパンフレットは市ホームページには掲載されていない。この条例が市民にあまり理解されていなかったのは必然だったとも言える。
そのパンフレットにしても概念的な表現にとどまっており、興味深く読めるものとは言えない。例えば佐賀市、愛知県日進市、埼玉県戸田市などが行っているように漫画を使い、誰もが親しみのある読み物として本市の理想の未来像を示し、そのために市民が何をしなければならないのかを説明する自治基本条例パンフレットを作成してはどうか。