一支国博物館の第30回特別企画展「イキものがたり」が15日から1階テーマ展示室で始まった。9月4日まで。入場無料。
同展は壱岐島で見られる動物や植物のあまり知られていない実態に焦点を当て、壱岐の生き物の「ものがたり」として解説。生体、標本、化石、文献などを用いて、夏休みの学習研究のために訪れる子どもたちにも判りやすいように紹介している。
展示室に入ってまず目を引くのがコウノトリ「ハチゴロウ」のはく製。壱岐島に毎年飛来する国指定特別天然記念物のコウノトリは、日本では絶滅していたが、日本最後の生息地となった兵庫県豊岡市が1965年に人工飼育を開始した。そのコウノトリの郷公園に、2002年に突如大陸から飛来したのが野生の「ハチゴロウ」。同鳥はそのまま公園に住み続けたことで、コウノトリの野生復帰のために何をすればよいのかという難題への生き字引となった。
豊岡市は、壱岐市と友好都市提携を結ぶ朝来市とともに旧但馬国であるという縁もあり、コウノトリ復活のシンボルである「ハチゴロウ」のはく製を、今回初めて市外に貸し出した。
その他、あのシーボルトが編さんした「日本動物誌」「日本植物誌」などの文献、壱岐出身の4人の偉大な自然科学者の足跡をまとめた「壱岐島学者ものがたり」、芦辺町の高源寺に所蔵されている「河童の証文」など本島などの河童伝説をまとめた「がわっぱものがたり」、博物館学芸員が専門家に依頼してまとめた絶滅危惧種「壱岐島RED LIST」など約60点の展示は、見応え十分なものになっている。
須藤正人館長は「今回の特別展は人間と生き物の共生共存がテーマ。夏休みの子どもたちに楽しんでもらい、大人にはしばし少年少女の日に立ち戻っていただければと思っている」と珍しい自然科学系展示の企画意図を説明した。