本市海域で検討が進められている洋上風力発電の導入に関して、県は7月31日、再エネ海域利用法に基づく国への情報提供を今期は見送ったことを明らかにした。国は再エネ利用法に基づく促進区域指定に向けた都道府県からの情報提供を5月10日まで受け付けていた。市は4月、それまでの協議会でまとめた壱岐周辺海域5か所の「導入可能性エリア」を漁場利用や船舶航行、国防施設などへの「配慮すべき条件」を添えて県へ情報提供し、同利用法に基づく促進区域指定に向けた手続きへの進展を目指していた。
31日、壱岐の島ホールであった市洋上風力発電等導入検討協議会(会長・河邊玲長崎大学海洋イノベーション機構教授)で、県労働産業部の井内真人次長が情報提供を見送った理由を説明した。
市は3月、風車を設置した場合の防衛施設へ影響があるか防衛省にヒアリングを実施。その回答が4月にあり、導入可能性エリアのうち、壱岐島西側2か所と東側1か所の一部がレーダーや通信施設に影響があることが示されたという。
その上で井内次長は「再エネ海域利用法に基づいて洋上風力発電を導入するためには(国に)促進区域に指定される必要があり、そのためには指定基準を満たす必要がある」とし「防衛レーダーの影響がないとされている海域のみでは事業性が確保できるか更なる協議が必要と判断した」とした。さらに漁業者ら利害関係者との調整についても一般海域の市外の漁業関係者との調整が「現状の調整状況は十分な状況でないのではないかと認識している」とし、「この二つの課題が整理された後に国へ情報提供を行いたいと考えている」とした。
市は今後、利害関係者との合意形成に国と共に取り組むほか、漁業や自然環境への影響を確認するための実証試験機(1~2機)の設置も検討することにした。