市消防本部は1月26日、文化財防火デーに伴う消防訓練を郷ノ浦町坪触の法輪寺で実施。同寺住職と総代長、市消防団など関係者約40人が参加した。
同寺の本堂から出火したとの想定で、岩見隆廣住職と坪田幼一総代長が消火器で初期消火をするとともに、消防署に通報。同寺は細い道から石段で上がった場所にあるため、下の広い道路にポンプ車を止め、また近くに防火水槽がないため海から海水を引き揚げてポンプ車に送水する想定で、計150㍍以上にホースをつないで延長し、消防署員と消防団員が一斉放水を行った。
本堂からは同寺に所蔵されている市指定有形文化財の彫刻「銅造如来坐像」のレプリカを、消防署員2人が慎重に抱えて運び出した。この仏像は韓国の高麗時代後期に造られたものが壱岐に伝わったとされており、当時の交流を示す貴重な資料とされている。
平田則久消防署長は「厳しい寒さの中での訓練となったが、発生から初期消火、通報、一斉放水と一連の流れがスムーズに行われ、所期の目的を達成できた。貴重な文化財は後世に残していかなければならない。沖縄・首里城の火災は映像を見ていても耐え難いものだった。2度とあってはいけないことで、さらに防火に務めていきたい」と講評した。