壱岐イルカパーク&リゾートを運営するイキ・パーク・マネジメント(高田佳岳代表取締役)は4日から、これまで提供してきたイルカとのふれあい体験を、障害がある人でも体験できるようにする。サービス開始を前に6月23日、デモンストレーションイベントを開いた。
同パーク&リゾートは昨年12月、障害がある人と健常者が安心して楽しめるマリンスポーツ施設を運営する一般社団法人ゼログラヴィティ(鹿児島県大島郡瀬戸内町、河本雄太理事)と共にSDGs実現を目指すパートナーシップを締結。誰もが当たり前に楽しめるリゾートを目指して準備を進めてきた。
ゼログラヴィティは日本財団の補助事業「バリアフリーマリンレジャー事業」を活用して、各地のマリンレジャー施設の環境整備を行っている。イルカパークには車椅子の人でも使いやすいようシャワー室の段差をなくすなど改修。さらに各所にファスナーがあって誰でも着やすいウェットスーツと海中の電動推進機「水中スクーター」を寄贈している。
イベントでは、18歳の時のバイク事故で首を骨折し、手足が不自由になりながらも28歳の時に世界一周を達成した「車椅子トラベラー」の三代達也さん(33)=沖縄県糸満市在住=らを招いて実施。スタッフが補助しながら海に入り、イルカを間近に観賞。さらにイルカに触れたり水中スクーターを使ってイルカとの遊泳を楽しんだ。
三代さんはオーストラリアや沖縄でスキューバダイビングの経験もあるが「今まで人生でないくらいの経験だった。イルカと泳げるとは思っていなかった。ダイビングと違ってボンベを背負う必要もなくハードルが低い。イルカは壁越しに見るものと思っていたが、(同じ水中で)一緒になれた」と興奮した様子。大手旅行社のスペシャルサポーターとしてバリアフリー観光地のコンサルティングもしている三代さん。「これほどのコンテンツは日本中どこにもない。大自然の中で特別感もある」と太鼓判を押した。
体験者は水中の椅子に座り、脚を前に出す体勢になるなど、イルカにとってもこれまでと違う状況となったが、このプログラムに向け訓練してきたトレーナー5年目の上谷愛美さん(24)は「事前に予想はしていたが、脚が不自由な方にとって入水の難しさなどがわかった。生の声が聞けてよかった。これからもイルカと訓練を頑張りたい」と話した。