八幡まちづくり協議会(後藤裕昌会長)は13日、3月末で56年の歴史に幕を下ろす八幡児童館の閉館イベントを開催。約100人の地区民が愛着ある施設との別れを惜しんだ。
同館は昭和40年に八幡地区の子どもたちの見守りを目的に、総工費365万円で建設された。だが施設の老朽化が目立つようになり、令和2年に雨漏りのため屋根の修理を行ったが、昨年は水道管が破損し断水状態になった。漏水箇所が特定できず修理が難しく、子どもたちの安全を十分に確保できないいことなどから、市は閉館、取り壊しを決めた。
平成26年から7年間、最後の管理人を務めてきた松永秀子さん(61)は「毎日の子どもたちとの時間に加え、恒例のけねやねクリーン作戦や相撲大会などのイベントもあり、主人と一緒にやる草刈りは大変だったが、何もかも楽しい思い出ばかりだ。八幡の子どもたちは私の宝物になった」と涙ながらに挨拶した。
八幡小5年の山川樹奈さんは「松永さんはお忙しいのに、いつも遊んだり、話をしてくれた。飾ってある絵を観るのも楽しみだった。児童館には思い出がいっぱい詰まっている」、6年の吉田直翔さんは「松永さんと一緒に卓球をやって、上手だねとほめてもらった。学校の持久走の時は入口から声をかけてもらった。広場での野球やサッカーも楽しかった」と感謝の言葉と思い出を語った。
後藤会長は「閉館は市も苦渋の判断だったとは思うが、子どもたちの見守り場所というだけでなく、八幡地区の他のすべて公共施設が海抜3㍍以下の中、この児童館は海抜12㍍の高台で、津波などの時に避難所としての役割もあった。この場所は今後の避難所としての活用も考えてもらいたい」と要望した。
館内には八幡小児童からの「ありがとう作文」、児童館の思い出の写真が掲示され、ウクライナ緊急支援募金も実施された。式典後には参加者全員で、児童館への感謝と世界の恒久平和を願うメッセージカードをつけた風船100個を、一斉に空に飛ばした。