市国境離島新法制定民間会議空港整備期成会(川﨑裕司会長)は15日、壱岐島開発総合センターで「離島航空路線の活性化にかかるシンポジウム」を開催。約300人が会場を埋めた。
ORCが壱岐‐長崎間で運行しているQ200型機が更新時期を迎え、今後、後継機の選定によっては1200㍍滑走路の壱岐空港の空路が存続の危機を迎える可能性があることを市民が情報を共有して、空路存続に向けた機運を高めることが目的。川﨑会長は「国境離島新法を活用した空港整備を県に要望しているが、道のりは厳しい。国境離島に空路は絶対に必要であり、今後は島民決起大会も実施したい」と気勢を上げた。
顧問の山本啓介県議は「後継機が同じボンバルディアのQ400型になると、対馬、五島は大丈夫だが、壱岐では定員の3分の1程度まで重量制限しないと離着陸できず、実質的に運航は難しい。飛行機はいらないのでは、という声もあるが、今後の日本のインバウンド増加を考えると、空路はより重要性を増す。重量制限したQ400か、滑走路延長か、パイロット・整備士を養成してJAL系列で使用しているATRを導入するか、選択肢は3つしかない」と現状を説明した。
基調講演は国の「持続可能な地域航空のあり方に関する研究会」で委員を務めている慶応義塾大学商学部・加藤一誠教授が「地域航空路線の維持と今後の空港」のテーマで行った。加藤教授は「天草、鹿児島で運航しているATR42‐600型は、1000㍍滑走路で離発着ができる。新型の600s型なら800㍍滑走路でも大丈夫で、ORCが運休している小値賀空港などでも就航が可能。天草エアライン、日本エアコミューターとORCの九州地区の地域航空会社3社が系列を超えて、機材の統一化、運航・整備業務の共同化を行うことを、機材共同保有組織、持株会社(ホールディングス)の設立などで実現することが考えられる」などと話した。