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壱岐商野球部、6人が体験入部し9人揃う。秋季大会出場へ向け練習開始。

3年生が引退し部員が3人だけになってしまい、単独チームでの対外試合出場が危ぶまれていた壱岐商業高校野球部に、新たに6人の入部希望者が現れた。現時点では夏休み期間の「体験入部」だが、このまま順調に正式入部を果たせば、9月15日に開幕する第143回九州高校野球県予選佐世保地区大会(秋季大会)=選手資格登録締め切りは9月11日=への出場が可能となる。1976年の創部以来、公式戦に出場を続けてきた同部の伝統を守り抜くため、猛暑の中、9人は基礎からの練習に熱心に取り組んでいる。

8日に行われた第100回全国高校野球選手権記念長崎大会1回戦で、長崎工に0‐6で敗れた壱岐商は、ベンチ入り選手が3年生8人、2年生3人の計11人しかいなかった。3年生はこの大会で引退したため、新チームに残った部員は2年生の増田圭汰主将、森岡智哉さん、山川恭平さんの3人だけになってしまった。これまでも4月入学の1年生に入部勧誘は行ってきたが、中学の離島甲子園選抜メンバーが揃って壱岐高校に進学したことなどもあり、入部希望者は現れなかった。

だが秋季大会まで残り2か月となり何とか公式戦出場を続けたいと、今年4月から赴任した長崎西高野球部出身の皆良田一輝部長、波佐見高野球部主将だった宮原明寛監督、そして3人の部員が大会直後からさらに勧誘の力を強めた。増田主将は「公式戦出場という先輩たちがずっと守り続けてきた伝統を、僕たちが途絶えさせるわけにはいかなかった。小中学校での野球経験者に、かたっぱしから『いま入ればレギュラー間違いなしだよ』などと口説いた。先生やみんなの協力もあって、大会から戻って5日間で6人を何とか集めることができた」と白い歯を見せた。13日に全員でミーティングを行い、17日から9人での全体練習がスタートした。

体験入部を希望した6人は2年生5人と1年生1人。このうち5人は野球経験者で、情報メディア部、報道部など文科系クラブから転部したり、運動系クラブを退部して帰宅部だった生徒もいる。皆良田部長は「運動をしていなかった子が多いので、まずは練習を乗り切る体力をつけることが必要。厳しいだけでなく、楽しさもなければ続けてもらえないので、バッティング練習にも時間を割いて、夏休み中に何とか基礎を身に付けてもらいたい」と練習2日目の18日にはトスバッティングに練習時間の大半を割いた。打球がどこに飛ぶか判らず、トスをする先輩たちは怖々の様子だったが、それでも9人に笑顔が絶えなかった。

増田主将は「技術的にはまだまだだが、みんなが明るい表情で練習してくれているのでひと安心している。とにかく1人も脱落者を出さずに秋季大会に出場して、コールド負けではなく9回まで試合をすることが目標。9人で懸命に公式戦を戦っている姿を見せることで、来年の1年生の入部にもつながるはず」と期待を込めた。要となる捕手経験者がいないこと、1人でもけがをしたら出場できず、試合中なら選手不足で没収試合になってしまうなど、今後の課題や乗り越えなくてはならない問題も多いが、全員レギュラーの壱岐商野球部は、身上の「全員野球」で秋季大会に挑む。

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