本市を舞台に、古事記をテーマにした漫画とアートのプロジェクトに取り組む企画会社KIRINZI・inc(東京)と出版社ライスプレス(同)は24日、3月からスタートした「COZIKIプロジェクト」の概要発表記者会見を壱岐の島ホールで開いた。
同プロジェクトは、昨年11月に市が公募した滞在型観光プロモーション支援業務に応募のあった6案の中から採用された。壱岐島は古事記の中で伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が5番目に産んだとされ、神話に登場する月読命を祀る「月讀神社」や猿田彦命を祀る「男嶽神社」など古事記に縁の深い場所が多く存在することから、古事記を活用して「神々の島」を滞在型観光に結びつけるのが狙い。
プロジェクトの第1弾として7日、コラージュアーティスト河村康輔さんが手がけた手塚治虫氏の名作「火の鳥」をコラージュし、壱岐の写真なども組み込んだポスターを発表している。同プロジェクトを企画した鈴木智彦さんは「古事記は日本最古の歴史書、神話を描いた本であると同時に、人間愛、家族愛も詰まった壮大なストーリー。日本とは何なのか、日本人はどう生きるべきなのかというヒントがあり、その価値観を次世代に伝えていきたい。古事記をモチーフにした新たな神話を創るために、日本の原始的な空気が存在する壱岐を舞台にしたプロジェクトを企画した」と意図を説明した。
「今年9月に漫画とカルチャーの雑誌『COZIKI』を発刊し、半年ごとに壱岐限定で販売する。壱岐に来なければ買えない不便さが、一つの体験になる。壱岐での作品展示、グッズ販売も展開していく」と市と協力して滞在型観光に結び付けていく考えだ。雑誌は数々のカルチャー誌を手掛けた稲田浩さんが編集長を務めるほか、同プロジェクトで制作するアート作品には、写真家・藤代冥砂さん、イラストレーター下田昌克さん、手塚プロダクションの手塚るみ子さんらが協力。漫画界の巨匠・松本零士さんも参加を予定している。
23日から目標額を50万円に設定したクラウドファンディングを開始したが、26日までに目標の約5割に到達するなど、早くもプロジェクトは高い関心を集めている。