2017年も残すところあと3日。今年もいろいろな出来事があった壱岐島の1年を、壱岐新聞の紙面を飾った十大ニュースで振り返る。時事通信が選んだ国内十大ニュースには「森友・加計・日報、政権揺るがす」(3位)、「『ものづくり』信頼揺らぐ」(4位)、「アパートに9遺体、男を逮捕」(5位)など後ろ向きな、暗い話題が上位を占める1年だったが、壱岐島は有人国境離島法のスタートに伴い、前向きな話題が多かった。この「前向き」を「前進」に変えていくことが、18年の大きなテーマとなりそうだ。
①有人国境離島法4月スタート。
市民に最も大きな影響を与えたのは航路航空路運賃の低廉化。博多往復はジェットフォイルが6870円から5250円、フェリーが3370円から2590円、唐津往復は3230円から1690円とJR並み運賃が実現した。航空路の長崎往復も1万7500円が9600円(ORC)と新幹線並みとなった。
4月から10月までの航路航空路利用者は50万8053人で、対前年比1万9434人、4・0%増。このうち島民割引運賃適用者は16万4328人で全体の32・3%となっており、島民の経済的負担軽減に大きく寄与している。
九州郵船のジェットフォイルは11月から全席指定席化となり、出港前の行列が解消された。
②ジュニア陸上全国的な活躍。
個人種目では8月の全日本中学選手権大会(熊本)で松本汰壱(郷ノ浦3年)が6㍍78を記録して3位となった。松本は2015、16年ジュニアオリンピックで全国大会を経験しており、15年12位、16年9位だったが、3度目の全国大会で悲願のメダルを獲得した。
リレー種目では、12月の全国小学生クロスカントリーリレー研修大会(大阪)で壱岐ジュニアランナーズ(Jr)の男女6人のメンバーが1・5㌔×6区間のコースを31分29秒で走破。県勢として過去最高タイの6位入賞を果たした。2区の竹下紘夢(渡良6年)は18人抜きを演じた。
また壱岐Jrは8月の全国小学生陸上競技交流大会の男子4×百㍍リレーでも準決勝進出を果たした。
③50年に1度の豪雨。1週間に2度。
6月29~30日にかけて24時間総雨量が観測史上最多の432・5㍉を記録。市制施行以来初めて市内全域に避難勧告が出された。土砂崩れにより金蔵寺(勝本町)の本堂が全壊するなどの被害が出た。
7月6日は362・5㍉の日最大降水量を記録。6時間で250・5㍉の記録的短時間大雨となり、1週間前の豪雨で地盤の緩んでいた箇所で崖崩れなどが多発。勝本小学校近くの市道は幅約30㍍、深さ約3㍍に渡り道路が陥没した。
2度の豪雨で農地1046か所、農業用施設308か所、林地197か所、道路162か所、河川20か所に災害が発生。12月議会までに計約32億円の災害復旧費が計上された。緊急を要する箇所から工事に取り掛かるが、完全に復旧するまでには2~3年かかる可能性もある。
一方で、2度の豪雨で人的被害は出ておらず、壱岐が災害に強い島であることを証明した。
④高騰に沸いた子牛市場。
2015年10月市場から価格上昇が続いていた壱岐家畜市場の子牛取引は、今年は2月市場で約2年半ぶりの下落を記録したものの、4月市場では再び高騰して平均90万4032円の歴代最高記録を更新した。去勢の平均は初めて100万円を突破した。
その後は下落が続いたが、12月市場では再び盛り返して84万1952円。10月市場以外は平均80万円以上で、子牛市の取引総額は40億円を突破した。
⑤初の専門学校、こころ医療福祉。
学校法人岩永学園・こころ医療福祉専門学校壱岐校(中野勝校長)が4月に開校。第1期生14人が入学した。
職業訓練生を含めた新入学生は壱岐在住者6人、ネパール・インドからの留学生8人。壱岐高校、壱岐商業高校の新卒者も各1人おり、島外からの転入者の増加だけでなく、高校卒業者の定住対策、介護士不足にも早速効果が出ている。学生らは地域の運動会などイベントに参加したり、外国人はコンビニでアルバイトをするなど、地域に溶け込んでいる。
来春入学の第2期生には、市内高校卒業生がさらに増加する予定だ。
⑥東京壱岐雪州会、創立100周年。
10月29日にハイアットリージェンシー東京で記念総会を開き、中村法道知事らが出席し、メモリアルを祝った。
同会は1917年に壱岐出身者の関東地区の親睦団体として創立。現在の万谷正会長は12代目で、2代目は電力王・松永安左エ門氏(終身会長)が務めた。
⑦旧那賀中に新設、新芦辺中学校。
市議会3月会議は「芦辺中学校校舎新築工事の早期着工に関する請願」を全会一致で可決し、昨年8月に市教育委員会が決定した旧那賀中用地への移転に際して、校舎は新築することを決めた。
概算事業費は11億6240万円。財源は学校施設交付金約3・6億円、合併特例債約7・6億円(実質負担額約2・3億円)、一般財源約4千万円を充てる。
⑧Biz、商社、テレワーク。
壱岐市の地方創生への動きが次々に具体化した。事業者に対して無料で提案・アドバイスをするIki‐Bizが8月22日に開設。相談件数は市が当初予定していた「年度内180件」を年末までに2倍以上も上回るほど殺到している。
埋もれている壱岐産品を掘り起こし、全国的な販売に結びつける壱岐市ふるさと商社は4月1日に発足。首都圏での展示会参加や商談会で積極的に売り込んでいる。
新しい働き方にスポットを当てた壱岐テレワークセンターは9月29日にオープン。島外から3社がサテライトオフィスを設置し、定住人口拡大にも寄与している。
⑨歴史の島に新たな魅力。
平成27年度原の辻遺跡発掘調査で出土した弥生時代中期中葉の腕輪状木製品が国内初出土であることが4月に発表された。平成19年度市教育委員会発掘調査で同遺跡から発掘された紀元1世紀ごろの遼東系銅釧(腕輪)も11月に国内初出土であることが報告された。
またユネスコ国際諮問委員会は10月、朝鮮通信使に関する記録を世界記憶遺産に登録することを決めた。日本側48件208点のうち「朝鮮通信使迎接所絵図」は勝本町の土肥家が所有していたが、12月22日に本市に寄贈された。26日から来年2月25日まで一支国博物館で特別公開されている。
⑩TUBEの夏、壱岐に襲来。
2015年のB’zに続いて、人気ロックバンド「TUBE」の全国ライブツアーが7月に壱岐の島ホールで開かれた。
B’zの時と同様に市民有志で結成された「TUBEライブ歓迎委員会」のメンバー約100人がフードコート、案内所、サインボードなどを設置。港で来島者の出迎え、見送りなどを行った。