本市のふるさと納税PR動画が、2日の公開から4日間で約62万回も再生され、ふるさと納税に関する動画では過去最多再生回数を更新した。大食いタレントで、動画共有サービス「You Tube」の登録者が246万人を誇る日本屈指のユーチューバー(You Tubeに頻繁に動画を投稿する人たち)である木下ゆうかさん(31)に動画投稿を依頼。木下さんが本市のふるさと納税返礼品の特産物を使った料理で大食いに挑戦し、壱岐のグルメとふるさと納税の魅力を宣伝している。
木下さんが大食いに挑戦したのは、「旬の海産物セットB」(マルミ海産物)のタイ干物、生うに瓶詰3個(長田商店)、壱岐牛ステーキ・焼肉セット(JA壱岐市)700㌘の返礼品3点。ご飯6合でウニ丼(2・3㌔)を作り、干物焼き、焼き肉・ステーキをおかずに、5972㌔カロリーを完食する様子を5分14秒の動画で、倍速を使いながらノーカットで紹介した。
その気持ちの良い食べっぷりとキュートなルックスに、再生回数は増加の一途。13日現在で73万回を超えている。インターネットのニュースサイト「ValuePress!」によると、You Tubeの検索キーワード「ふるさと納税」でヒットする動画は3万本以上あり、これまでもっとも再生回数が多かったのは「うなぎ美少女・うな子の動画」(鹿児島県志布志市)の61・7万回。本市の動画はこの記録を4日間で塗り替えた「世界最多再生回数」だという。
動画ではただ大食いだけでなく、その味や壱岐の魅力、ふるさと納税の仕組みなども紹介。動画ページから壱岐市ふるさと納税ホームページ、ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス壱岐市」のページにもリンクしている。
この動画を発案した市政策企画課の中村勇貴さん(30)は「まだ公開後間もない段階なので、この動画を見てふるさと納税を申し込んだ人がどれくらいいるのかは把握できていないが、これだけの再生回数があるのだから、宣伝効果は大きいと思っている」と手応えを感じている。
本市のふるさと納税額は平成25年度は277万円だったが、制度設計と情報発信に取り組み始めた26年度は3173万円に10倍増。27年度は1億656万円と目標の1億円を突破し、今年度は1億8千万円を目標にしている。
7日現在の申込件数4418件、申込額約7840万円で、昨年同日の3584件、6144万円を27・6%も上回っている。ふるさと納税は来年度の税金が控除される年末までが申し込みのピークで、この時期の宣伝効果は絶大なだけに、目標達成も見えてきた。
中村さんは「今年4月にふるさとチョイスからの申し込みを開始し、ウェブからの申し込みが全体の8割以上を占めるようになった。従来のPR、情報発信は新聞広告やパンフレットなど紙媒体が中心で、ホームページやフェイスブックの活用も宣材が商品画像だけで情報発信力が弱かった」とこれまでの弱点を把握。
その上で「テレビにも出演しているユーチューバーを起用することで、これまでふるさと納税に関心がなかった人、壱岐を知らなかった人に広く情報発信することが有効だと考えた」と有名なユーチューバーである木下さんを起用した。「今後は第2弾として、木下さんに壱岐に来て、食べまくってもらうプランも考えている」と話した。
企画振興部の左野健司部長は「これまではパンフレットの写真も職員が撮影するなど、なるべくお金をかけないでふるさと納税をPRしようとしていた。だが若手職員の発想で、少ない予算でもPR効果が大きい手段を見つけてくれた。今後も攻めの姿勢を見せていきたい」と柔軟な発想の若手職員の殊勲を称えた。
◇木下ゆうかさん 1985年北九州市生まれ。2009年からテレビ東京系「元祖大食い王決定戦」に出演し、13年の同番組「爆食なでしこ頂上決戦」で優勝したアンジェラ佐藤に次ぐ準優勝を飾った。14年から「テレビでは伝えきれない食を楽しむ様子を見て欲しい」とYou Tubeチャンネルを開設し、動画投稿を開始。チャンネル登録者には日本だけでなく、中国のユーザーも多い。肉4・5㌔とご飯1・5㌔の完食動画は3百万回も再生されている