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スーパー種雄牛「弁慶3」、但馬系で県内歴代1位。BMS値は8・8。

また壱岐からスーパー種雄牛が誕生した。県肉用牛改良センター(平戸市)の所有する種雄牛「弁慶3」(平成23年12月20日生まれ、郷ノ浦・成石範明さん生産)がこのほど、県の産肉能力検定で脂肪交雑(BMS値)8・8という但馬系種雄牛で県内歴代1位の成績を記録した。スーパー種雄牛「平茂晴」は糸桜系、次世代のエース「金太郎3」「北福平」「百合幸」はいずれも気高系で、2系統で壱岐産種雄牛が長崎和牛をけん引してきたが、これまで手薄だった但馬系に大物が加わったことで、長崎和牛はさらに飛躍的な発展を遂げそうだ。

枝肉重量542・2㌔

「弁慶3」は去勢12頭を対象にした現場後代検定で、BMS値8・8(県平均6・6)、枝肉重量542・2㌔(同479・3㌔)、ロース芯面積71・1平方㌢(同57・8平方㌢)、バラの厚さ9・1㌢(同8・1㌢)、上物率100%(同78・2%)という極めて高い成績を残した。
BMS値は昨年5月に「勝乃幸」が全国1位の10・3を記録しているが、「金太郎3」と「百合幸」は8・4、「北福平」は8・1で、これらのエース候補を上回った。何よりも但馬系種雄牛では、これまで「安平栄」(五島市産)が6・9、新鋭の「政一」(佐世保市産)が7・5、「牛若平」(郷ノ浦町産)が7・4だったので、これを大きく上回ったことにより価値が高い。
同センターは「これまで当センターは、但馬系種雄牛がやや弱かったので、積極的な導入を進めてきた。全国トップクラスの『弁慶3』が登場したことで、糸桜系、気高系との配合計画が大きく進展し、長崎和牛の飛躍的な品質向上が期待できる」と話した。
JA壱岐市の谷口覚畜産部長も「当然、適性交配マニュアルに組み込んでいく。但馬系でこの枝肉重量は大きな魅力で、上物率100%というのもすごい数値。壱岐牛が大きくレベルアップしてくれるはずだ」と期待を込めた。

郷ノ浦町 成石さん生産

生産した郷ノ浦町若松触の成石範明さん(60)は「生まれた時から大きく、生後2時間も経過しないうちに50~60㌢のフェンスを飛び越えたのでビックリした。その跳躍力と、母さつきの父親が『牛若丸』だったので、牛若丸と弁慶の五条大橋での出会いを連想して、『弁慶3』と名付けたのです」とエピソードを語った。
壱岐産の種雄牛は、糸桜系がスーパー種雄牛「平茂晴」(10年生まれ、芦辺・末永肇さん生産)、気高系が「金太郎3」(20年生まれ、勝本・豊坂敏文さん生産)、「勝乃勝」(14年生まれ、芦辺・辻田強さん生産)、「百合幸」(23年生まれ、石田・松本則雄さん生産)、「北福平」(21年生まれ、郷ノ浦・末永勇さん生産)と2系統で不動の地位を築いていたが、但馬系にもエース候補が誕生したことで「優秀な種雄牛は壱岐産」という評判がさらに定着。壱岐牛の知名度アップにも大きな貢献を果たすことになりそうだ。

宮城全共は「金太郎3」

今年9月7日からは宮城県で、4年に1度の第11回全国和牛能力共進会(全共)が開催される。
その最高栄誉となる「名誉賞」で、前回の長崎大会で本県は肉牛の部8区(若雄後代検定牛群)で日本一に輝いた(種雄牛・福姫晴=五島市産)が、種牛の部7区(総合評価群)は宮崎県が1席となり、本県(種雄牛・勝乃勝)は3席に甘んじた。
「日本一の長崎牛」と胸を張って宣言するためには、8区(種雄牛・茂晴23=佐世保市産)の連覇はもちろんのこと、7区で雪辱を遂げる必要がある。その7区の出品対象種雄牛に選ばれたのが「金太郎3」だ。
谷口部長は「『金太郎3』は増体が素晴らしい。壱岐市場での取引価格、頭数も『平茂晴』に迫ってきている。7、8区を完全制覇するためにも、『金太郎3』に掛かる期待は大きいし、その期待に応えてくれると思っている」と自信を見せた。
宮城全共では9区(去勢肥育牛)の出品対象種雄牛にも「安平栄」(五島市産)とともに「北福平」が選ばれており、壱岐産種雄牛の優秀さを全国に知らしめる重要な舞台にもなる。

◆県肉用牛改良センターけい養種雄牛 現在25頭が供用されており、このうち金太郎3、平茂晴、百合幸、牛若平、勝乃勝、北福平、秋山花、弁慶3、鶴江平茂、桃太郎3、勝忠勝、隼勝忠の12頭、約半数が壱岐産というラインナップになっている。
◆BMS値 高級牛肉の指標となる脂肪交雑(霜降りの入り具合)を表したもので、12段階で評価されている。8以上の5段階が肉質等級の5等級に相当する。世界的に名高い神戸ビーフは、兵庫県産という規定はあるが、BMS値は6以上とされている。全国平均は6・7で、弁慶3はこれを大きく超える8・8を記録した。
◆弁慶3の血統 全国的に高い知名度を誇る但馬系種雄牛「北乃大福」(茨城県供用)を父に、脂肪交雑、枝肉重量評価がともに高い「さつき」(その父は長崎県で供用された牛若丸)を母に持つ。

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