劇団未来座・壱岐(土肥正史座長)の第3回公演「次元の扉~河合曽良・行き生きて壱岐~」が1月29日、一支国博物館3階多目的ホールで開かれ、約2百人の観客で会場は満席となった。
物語は江戸時代前期。松尾芭蕉の高弟・河合曽良は、師匠と「奥の細道」の旅を終えた後に、巡見使の一員として渡った壱岐・勝本浦の海産物問屋「玄海屋」で病気の療養をしていた。曽良は巡見使以外にもある密命を受けていたことにより、その命を狙う一行が迫ろうとしていた。
曽良の命を救おうと、現代から3百年前にタイムスリップした曽良の墓守りの女や、玄海屋の主人と娘、子どもらが、曽良は壱岐で病死したことにして、対馬に逃がそうとする。曽良と玄海屋の娘・美鈴との恋愛模様も描かれ、会場は笑いと感動の拍手に包まれた。
曽良の墓が故郷の諏訪、病死したと言われている壱岐、さらに対馬にもあることから、勝本在住の蓮華さんが壮大な歴史ロマンの脚本に仕上げ、小学4年から82歳までの幅広い演者10人、演出の堀川真穂さんら11人の裏方が、舞台を作り上げた。
曽良役の土肥座長は「3人の子役を始め、みんなが一生懸命にやってくれた。曽良について、勝本の人は知っていることが多くても、壱岐全体に広めたいと思い、この題材を取り上げた。私自身も墓が3か所にあることを今回初めて知った。よく勉強した上での脚色だった」と脚本の妙について語った。