旧鯨伏中学校跡地に開校した本市初の専門学校「学校法人岩永学園・こころ医療福祉専門学校壱岐校」(中野勝校長)の入学式が8日、芦辺・つばさで行われ、インド、ネパールからの外国人留学生8人を含む13人(他に職業訓練生として1人入校)が第1期生として入学した。2年間の学習で介護福祉士の国家資格取得を目指す。定員の1学年36人には満たなかったが、将来的に危惧される本市の介護福祉士不足解消が期待できるほか、壱岐高校、壱岐商業高校の新卒者各1人も入学し、人口減少対策の最大のテーマである高校卒業生の島外流出防止にも一定の役割を果たすことになる。
職業訓練生を含めた新入学生は、壱岐在住者6人、ネパール、インドからの留学生が各4人。新入生代表で壱岐商卒業生の西村楓さん(18)が「専門的な知識を学ぶことに対して不安な気持ちもありますが、自分の決断を信じ、最善の姿勢で勉学に打ち込むことを誓います」と宣誓した。
西村さんは「大好きな祖母の世話をすると笑って喜んでくれるのが嬉しくて、中学生の頃から将来は介護福祉士になりたいと思っていた。壱岐に専門学校ができたのは最高のタイミングだった。家から通えるし、親の負担も少ないので、迷わずに入学を決めました」と動機を語った。
壱岐高卒業生の中村大祐さん(18)は「インターンシップで老人福祉施設での仕事を体験して、やり甲斐を感じたし、自分に向いていると思った。この学校のことを知る前は島外の介護福祉専門学校へ進学しようと思っていたので、開校してくれて本当に良かった」と話した。
留学生の8人は、いずれも佐世保市などの日本語学校で1年半、日本語を勉強しており、日常会話程度はマスターしている。ネパール人のカツワル・アカスさん(22)は「壱岐のことはまったく知らなかったが、自然が豊富で、人々が温かくて、施設もきれい。校舎から満開の桜も見ることができた。こんなに良いところだとは思わなかった。地域のため、故郷・ネパールのためになれるように、一生懸命勉強したい」と抱負を語った。
生徒は10日から前期授業がスタート。介護総合演習、機能的解剖学、医療的ケア、生活支援技術、コミュニケーション技術など15教科の授業と、57日間の介護施設での実習を行い、平成31年1月に介護福祉士の国家試験を受験するが、学内の模擬試験で80%程度の正答率がなければ受験をさせないなど、厳しい勉強の毎日が待っている。
岩永城児理事長は「壱岐市民皆さんの応援で、無事に開校することができた。第1期生をしっかりと育てていくことで、来年度以降の入学者も増加すると思っているし、すでに両高校から入学希望者がいる。今後の日本の介護を考えた場合、外国人の雇用は必ず必要になってくるので、この8人はそのさきがけになる。学校、施設(特養ホーム・壱岐のこころ)でも万全の受け入れ態勢を整えたい」と話した。
入学式に出席した白川博一市長は「壱岐に専門学校を誘致することは長年の目標だったので、無事に開校を迎えて感慨深い。1期生は島内から6人だけだったが、今春も島外の介護福祉専門学校に進学した生徒がいたように、需要はある。島外に一度は出てみたいという気持ちも理解できるが、せっかく島内に専門学校ができたのだから、もっと宣伝して入学者を増やしたい。留学生も苦労はあるだろうが、地域の人たちに慣れることが介護の第一歩なので、頑張ってもらいたいし、市としても様々な形でフォローしていく」と今後の入学者増加に期待を込めた。