4月3日告示、10日投開票の壱岐市長選挙に12日、元公立小学校教諭の武原由里子さん(51)が立候補する考えを表明した。同選挙には昨年10月、現職の白川博一さん(65)が、今月9日に元会社役員の坂本和久さん(51)が立候補の意思を表明しており、市長選は2008年以来3度目の3人での選挙戦になる見通し。23日時点で他に出馬を模索する動きはない。白川さんは14日、芦辺町で選挙事務所開きの神事を行い、住吉神社で後援者に向け抱負を語った。坂本さんは出馬へ向けた準備を進めている。
坂本さんは9日、壱岐文化ホールで記者会見を開き、出馬の意思を表明。「壱岐の多くの人たちが現市政に不満を抱いていると聞いた。このまま現職が3選するようなら島の未来は暗澹(あんたん=希望が持てない様)となる。10年以上にわたり国会議員秘書を務めてきた私の経験と人脈を活かして、壱岐を浮上させたい」と立候補理由を説明した。
政策目標として掲げた7点と主な具体策は以下の通り。
①行革で市人件費大幅圧縮=市長給与30%・退職金50%カット。
②庁舎の新築や豪華な改築をしない=庁舎新雪は絶対にせず、耐震化改修の最低限の機能確保にとどめる。
③観光客3倍増=島全体を海と緑のテーマパークに磨き上げ「リゾート・アイランド壱岐」を実現。観光客63万人を目標。福岡市の都心に総合ショップ「壱岐屋」を出店。ゴルフ場の18ホール化、イルカと泳げるイルカパークの実現。
④航路改善に力を集中=レインボー号の復活。
⑤小学校統合を急ぎ小中一貫校にし、芦辺中は旧那賀中にする。
⑥農漁業振興策は6次産業化をベースにした大胆な施策=壱岐産コンブ養殖を全島で取り組む。
⑦緊急10項目=「子育ての島」への総合支援策、光ケーブル網の指定管理の根本的見直し。
◆坂本和久さん 1964年、芦辺町中野郷仲触生まれ。壱岐高校を卒業後、名古屋法経専門学校、近畿大学法学部法律学科通信課程卒業。90年から2003年まで国会議員秘書を歴任。03、07年長崎県議会議員選挙壱岐選挙区で落選。昨年12月まで愛知県のガラスコーティング会社サンライト・シールドで副社長を務めた。
12日に壱岐文化ホールで開いた会見で武原さんは「壱岐の未来を決める市長選なのに、直前になっても現職以外に立候補予定者が現れず、無投票になる恐れがあった。先の見えない閉そく感を打破すべく、周囲の勧めで立候補の考えを決めた。市民が笑って暮らせる世の中にするためには、女性の柔らかさが大切。女性目線で新しいまちづくりをしたい」と立候補理由を説明した。
政策目標として掲げたのは以下の7点。
①子どもを育てたくなる島を目指す。
②自然と歴史・文化・スポーツを活かした島づくりを進める。
③高齢者・障がい者・女性にやさしい島づくりを進める。
④農畜産業・水産業で生活できる支援体制をつくる。
⑤壱岐の「宝」を活かした観光を国内外に発信し、交流人口を増やす。
⑥安心・安全な島の良さをベースに、産・学・官・オール壱岐の英知を集結した島づくりを実現する。
⑦地元業者応援で地域経済を元気にする。
具体策は近く発表するという。政治活動の経験不足については「私一人でやることではない。行政、市民の声を巻き込みながら三位一体でやっていく」。女性ならではの視点として「自身で子育ての経験があり、子育て支援に活かせる。いままでは男性視線で政策が決められていたが、これまで声を挙げられなかった女性の訴えを吸い上げて政策としていきたい」などと話した。
◆武原由里子さん
1964年4月18日、熊本県菊池市生まれ。熊本大学教育学部卒業。同県玉名市内の小学校に教諭として勤務。90年に結婚し、壱岐に転居。盈科小、霞翠小で臨時教諭として約4年間勤務。読み聞かせグループ「そらまめ劇団」代表。壱岐子ども劇場元代表。県男女共同参画推進委員、県新しい公共支援事業運営委員など歴任。
白川さんは12日の事務所開き後、住吉神社に場所を移し、支援者ら約80人の前で改めて3選へ向けての強い決意を表明した。
2期8年の実績として、①県病院企業団への加入など病院改革②特別養護老人ホーム民間移譲③財政健全化実現、外務省から笹原副市長招へいなど④がんばらんば国体の誘致・開催などを挙げた。
これから取り組む施策としては①まち・ひと・しごと創生事業の強力な推進②婚活事業と子育て支援③高齢者福祉の充実④産業振興⑤壱岐病院外科医師の充実⑥4庁舎の耐震化工事⑦低炭素の島づくり⑧「実りの島壱岐」の発信による誘客推進⑨福岡市との観光協定締結⑩ウルトラマラソン(100㌔)の開催を挙げた。
具体策として、子育て支援には幼稚園授業料、第2子以降の保育料、中学校までの医療費無料化と、学校給食費の負担軽減を盛り込んだ。産業振興としては冷凍施設の整備と農水産物加工、和牛100頭規模の繁殖経営育成、壱岐焼酎醸造倍増プロジェクトを挙げた。
白川さんは「全国離島振興協議会の会長を務めさせてもらっている幸運を十分に活かし、壱岐を全国離島のモデルにしたい。壱岐から全国へ発信していく。国境離島新法は平成28年度予算成立後に国会に提出される予定で、制定へ向け全力を尽くしたい。1期目に実現した国の95%補助による光ファイバー網の整備は、プログラミングやアプリ開発、病院間のネットワークなど、さらに花を咲かそうとしている」と2期8年の実績がさらに進化・発展を遂げつつあると強調した。
◆白川博一さん
1950年、壱岐市生まれ。壱岐高校卒業。旧芦辺町職員、同町長を経て08年壱岐市長に初当選。現在2期目。11年県離島振興協議会会長、12年全国離島振興協議会会長に就任。