九州郵船8~10月の燃油サーチャージ(燃料油価格変動調整金)が遂に0円となる。経済産業省資源エネルギー庁はこのほど、4月の原油CIF(到着港までの海上運賃と貨物保険料が含まれた貨物価格)速報値が1㌔㍑4万2288円だったことを発表した。この価格は九州郵船が定めた同チャージの金額表で「加算なし」となる。23日に開催する壱岐市航路対策協議会で九州郵船から報告される。同チャージが無料になるのは平成23年4月以来4年4か月ぶりとなる。
九州郵船の8~10月の3ヶ月間の燃油サーチャージを決める4月の原油CIFの1㌔㍑当たり単価は、上旬4万2322円、中旬4万2406円、下旬4万2165円で、4月平均は4万2288円となった。
同社が発表している同チャージの改定金額表では、4万4573円以下は「基準」ゾーンとなっており、フェリー、ジェットフォイル(JF)ともに同チャージの加算がなくなる。
これにより、島民の博多往復はフェリー(2等)が3370円、JF3日以内が6060円、4日以上は6870円、ミックス割引は5430円。旅行客など本土からの往復はフェリー3960円、JF7680円となる。
燃油価格の低下により、同チャージは4月までの第5ゾーンから、5~7月は第1ゾーンまで一気に下がった。壱岐~博多航路のチャージは片道フェリーが550円から110円、JFが900円から180円に変更されていた。だがこのチャージが正式に決定したのは3月11日に開かれた市航路対策協議会だったため、旅行代理店などでは時間的にパック旅行に価格転嫁ができないところもあった。
これで2季連続の低価格となり、何よりも「チャージ0円」の宣伝文句は大きなアピールとなる。チャージ低廉化と、継続が決まったしまとく通貨が夏旅行のパック料金にも組み込まれることになりそうで、8月の観光、帰省シーズンに大きな追い風となる。
今後については不安もある。CIF価格は2月に3万6718円と平成16年度以来の安値を記録したものの、そこから2か月連続で値上がりしており、5月中旬には4万4千円台となっている。11月から来年1月のチャージを決定する7月の平均価格は、円安の状況にもよるが、再び基準値を超える可能性もある。
一方で、離島航路運賃の低廉化を盛り込んだ国境離島新法は、5日に開かれた自民党離島振興特別委員会(谷川弥一委員長)で法案概要が提示され、今国会への法案提出へ向けて着実に進展している。基本運賃のJR並み低廉化とチャージ無料が合わされば、壱岐観光は大きな飛躍のチャンスを迎える。