重家酒造(横山雄三社長)は9日、同蔵が醸造した純米大吟醸酒「横山五十白ラベル・火入れ」を、5月1日から10月31日までイタリア・ミラノで開催されるミラノ万博に出品すると発表した。
ミラノ万博のテーマは「地球に食料を、生命にエネルギーを」で、日本政府は日本貿易振興機構を参加機関として公式参加する。日本館では日本食や食文化の魅力を国際社会に広く発信し、ジャパン・ブランドをアピール。日本の食材を活用したレストランも併設する。その日本食の1つの分野として日本酒・焼酎が設定され、日本酒30蔵の1つに重家酒造が選ばれた。
同酒造は1924年創業。壱岐焼酎の醸造をメインに行っており、昨年6月のサッカーW杯ブラジル大会期間中に、サンパウロに出店した飲食店「ナカタドットカフェ」で壱岐焼酎「ちんぐ・白麹仕込み」を提供し人気を博した。以前は日本酒醸造も行っており、平成25年、23年ぶりに日本酒づくりを復活。昨年10月に開催された九州S1グランプリ(九州産日本酒のコンテスト)に「横山50黒ラベル」を出品し、いきなり準優勝を果たした。
ミラノ万博に出品する「白ラベル」は、兵庫県特A地区山田錦と山口県山田錦の100%使用で、精米歩合50%という点は同じだが、「黒ラベル」がリンゴの香りなのに対して、マスカットの香りが特徴。「今年の新酒は昨年に比べてすべてにレベルアップしていて、自信を持ってミラノで提供できます」と横山太三専務は胸を張った。
「横山五十白ラベル」4合瓶60本は3月末にミラノに空輸。13日から始まったレセプションパーティーでも、世界から集まったマスコミ関係者らに振る舞われている。万博では30蔵が順番に提供を行うため、同酒は6月18日からの10日間、レストランなどで提供される予定。その期間は横山専務も現地に乗り込む。
「W杯の壱岐焼酎に続いて、今度は壱岐の日本酒が世界に打って出るチャンスを頂いた。食中酒として記憶に残る味わいをコンセプトに造った純米大吟醸なので、冷やしたワイングラスで提供することで、外国の方にもきっと受け入れてもらえる」と自信を見せた。
9日は郷ノ浦町のステラコート太安閣内のダイニング「我羅」で、同酒造の日本酒の新酒披露イベント「新酒de楽しまnight」を実施。約50人の出席者に出品する「白ラベル」を初披露するなど、4種の日本酒で利き酒や、料理との相性についてアンケートなどを実施。新酒の手応えを感じるとともに「いまは山口県の澄川酒造場をお借りして仕込みをしているが、5年以内には壱岐の米と水を使って、すべて地元で日本酒を造りたい」と横山さんは夢も披露した。
【重家酒造の日本酒ラインナップ】純米大吟醸は「横山五十(50)」の銘柄で「フレッシュ生うすにごり」「白ラベル・火入れ」「黒ラベル・火入れ」の3種類。いずれも精米歩合50%、アルコール度数16度。1・8㍑各2千本醸造で、「生うすにごり」はほぼ完売。「白・黒ラベル」は5月末発売。価格は3970円。
特別純米の「確蔵OurSpirit(僕らの想い)火入れ」は精米歩合60%、15度。1・8㍑2千本醸造。価格は2700円。