政治の難しさは、国民が反対していても未来を考えて政策を実施しなければならないケースがあることだ。「国民の声を無視」と批判を浴び、それが原因で次期選挙に敗れることもあり得るため、政治家はそのような事案を先送りしがちだ。
本市でも同様な事案はある。例えば小学校の統廃合だ。現在の児童数、出生数を考えれば18校は不自然な状況だ。今年4月の入学者数が10人に満たない学校が12校あり、20人以上は盈科小(36人)と石田小(21人)の2校だけだった。これから年々、その人数の減少が確実だ。6年間の小学校生活で培われる同級生との絆は一生続くもので、いまでも高齢者らは小学校時代の同窓会を盛大に開いているし、選挙の時はこの同級生が応援することも多い。その同級生が数人しかいないのは、子どもたちにとって幸せなのだろうか。
小学校統廃合問題になると「地域から子どもの声がなくなり町に活気がなくなる」「まち協は小学校単位で結成したので統廃合は趣旨から外れる」「教職員数が減少し経済損失が大きい」「複式学級でも学力は落ちない」などの意見が噴出されることが予想される。どの意見も尤もだが、それは子どもたちの意見ではない。
先日、来島した県教委の前川教育長は、壱岐高校と壱岐商業高校の魅力向上へ向けてコンソーシアムを立ち上げて協議に入ることを明言した。22年、23年の市内出生数が100人強で、15年後には両高校への進学者は70人台になることも予想される。将来的な統合は避けられないが、統合ありきではなく生徒数不足で追い込まれる前に将来像を描いていくという。協議会でもし「統合やむなし」の結論が出された場合、市民から反対意見は多く出るだろうが、県立高校統合の最終的な決定権は県議会にあるだけに、市立小学校の統廃合よりは進めやすいかもしれない。
小中学校も高校も、まず第一に子どもたちのことを考えて将来あるべき姿を描き、問題を先送りせずに議論してもらいたい。