社説

ふるさと納税しない市民に感謝を

篠原一生市長が掲げる「儲ける市役所」の実現のために、すぐに着手できるのはふるさと納税なのだろう。本市のふるさと納税は令和4年度に過去最高の約7億4千万円を記録した。それでも全国1位の宮崎県都城市は約196億円、全国4位の北海道白糠町は人口7千人強の小規模自治体ながら約148億円を集めている。全体のふるさと納税受入額は1兆円に達しているだけに、本市もやり方次第で受入額を大きく伸ばせる可能性はある。
市議会6月会議の一般質問で篠原市長は「返礼品数を現在の2600商品からさらに500商品増やす」「今年度は個人版で10億円、企業版で1億円を目指し、任期中に公約の30億円を達成する」「人気の高い定期便を充実させる」などの方針を語った。
バラエティ豊かな返礼品は確かに魅力の一つになるが、本市のふるさと納税を扱うポータルサイトを見ると、同じ商品でも寄付金額によりページが分かれているため、好みの商品を探し出すのがひと苦労だ。「ふるさとチョイス」の場合、返礼品総数は2365点で、このうち「肉」が771点、「魚貝類」が554点もある。よほど壱岐市の思い入れがある人は別にして、一般の利用者は「人気ランキング」だけで判断してしまうのではないだろうか。単に返礼品数を増やしても効果はあまり期待できないように思える。「見せ方」を工夫してもらいたい。
もう1点気になるのは、壱岐市民も他自治体にふるさと納税をしている点だ。令和5年は総額約3154万円で寄付額に比べればごく少ないが、こちらも今後増額することは考えられるし、それは何ら責められることでもない。市民の多くは本市に強い愛情を持っていて、返礼品は魅力でも他自治体へ寄付をしていない市民も多いが、寄付者への返礼ばかりに一生懸命になっていたら、不公平感を持たれることも考えられる。他自治体にふるさと納税をしていない市民に対して、何らかの感謝の気持ちを表していくことも必要ではないだろうか。

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