7月17日から長崎‐壱岐の航空路に、ATR42‐600型機が就航した。ボンバルディアQ200型機は老朽化が目立ち、機材不具合による欠航が増加。すでに生産が中止されており、大掛かりな修理も難しくなっていた。Q400型機は壱岐空港の発着陸ができず、離発着必要距離が短いATR機が導入されなければ、壱岐の空路が存続の危機に陥っていただけに、まずはひと安心だ。
壱岐空港を巡っては、市議会6月会議でも滑走路幅安全区域(リーサ)の新基準を巡る質疑があった。現在45㍍のリーサが確保されているが、令和8年度までに計180㍍のリーサ設置の対策を講じる必要があり、このことを県、市が放置していたと市執行部が追及されていたが、ATR42‐600機は1050㍍で離発着が可能。現在のリーサを含めた1245㍍の滑走路に、両端90㍍のリーサを新たに設置しても、1065㍍分の滑走路が確保できる。今秋以降、ATRの2機体制が確立されれば、新基準でも問題はないはずだ。
また開発が進められている新型のATR60‐600S機は、さらに250㍍短い800㍍滑走路でも離発着が可能で、将来的に機種変更となれば、なおさら滑走路に余裕が生まれることになる。
市は毎年、壱岐空港滑走路を1500㍍以上に延長することを県に要望している。FDAのチャーター便など、どの機種での離発着できる滑走路を造成することは本市の夢でもあるだけに要望自体は理解できるが、実際に現壱岐空港の滑走路を延長するとなると、工事が海側でも山側でも、壱岐で最大の観光スポットである美しい筒城浜海水浴場が影響を受ける可能性が高い。人を呼び込むための滑走路延長なのに、観光スポットを潰してしまっては本末転倒になりかねない。
将来を見据えての滑走路延長なら、新たな空港建設予定地を市が模索・提案し、付近住民対策を講じた上で国、県に要望していくことが、より実現性を高めるのではないだろうか。