県立佐世保東翔高校吹奏楽部が2月24~25日、本市で合宿を行い、2日目に壱岐の島ホールで市民向けのコンサートを開き、約3百人が鑑賞した。
同部は例年、3年生が部員の出身地を訪れ「ふるさとコンサート」を開催。今回は顧問の中村明夫教諭(50)が壱岐高校で教鞭をとったことがあったことから、本市での合宿とコンサートを行った。
コンサートではクラシックからポップスまで7曲を披露。「マツケンサンバ」では曲の途中で指揮者の中村教諭が歌い出し会場を湧かせた。最後には郷ノ浦中や壱岐商業高校の吹奏楽部員、消防音楽隊ハミングバーズと共に「宝島」を合同で演奏した。
中村教諭は28年前、大学卒業と同時に壱岐高校に講師として臨時採用。4か月間吹奏楽部で指導した。
「私、昔からこんなだったので」。リーゼントヘアで〝キメた〟中村教諭は当時から目立つ存在で、先生でありながら生徒ともに生活指導を受けたこともあったという。
講師になる前から、すでに音楽の世界で稼げていたこともあり「先生には向いていない。なるつもりもない」と思っていた。だが、ひたむきに音楽に向かう壱岐高生は、見返りも名声も求めず、純粋に音楽に向かっていた。それはちょっと前までの自分の姿と重なった。そしてある日、生徒に「先生みたいな人ばかりだと世の中悪くなるけど、一人くらいいてもいい。救われた生徒もいると思う」と言われ、高校教諭を志すようになった。
舞台袖から特別な思いで指揮する中村教諭を見る人がいた。
ハミングバードで打楽器を担当する宝亀継吾さん(45)は、壱岐高吹奏楽部で3年の時、中村教諭と同じ時を過ごし、音楽に携わるきっかけを作ってもらった。コンサートの2曲目「11人のカウボーイ」は高校時代に演奏した曲で思い出がよみがえった。共演を果たし「感慨深かった。(演奏中)何回か目が合った。気にかけてくれているのが嬉しかった」と話した。
また、この日はウクライナから大分県別府市などに避難しているウクライナ避難民も招待され、市民とともに観賞した。