文化・芸術

家族の歴史たどり自費出版 「両親の思い記録に」 勝本浦の松尾さん姉妹

勝本町仲触の松尾滿里子さん(72)は、姉の營子さん(81)とともに、勝本浦や自身の家族の歴史をまとめた「壱岐の島の漁村に生きて 勝本浦の昭和・平成の記憶」(B5版、147㌻)を自費出版した。著書は2部構成。1部は勝本浦の歴史、名所、漁業の変容と課題を当時の写真を交えて紹介。2部は「ファミリーヒストリー」と題して父、母ら家族の来歴を、思い出と共に綴っている。

滿里子さんは昭和24年、同浦の漁家に生まれ、長崎市の短期大学に進学。卒業後は県の学校事務の仕事に就き、県内を回った。退職後の2018年に帰郷した。

「父には志があり、皆で世の中を良くしたいという思いがあった。記録に残らないものは、なかったものになってしまうので、当時の思いを残したかった」(滿里子さん)と、帰郷前の2014年、出版に向けて準備を始めた。

父の政太郎さんは大正9年生まれ。軍隊への入隊、シベリア抑留、帰還、勝本町漁協の初代青年部長、同漁協機関紙発行など様々な経験をし、42歳の若さで他界した。

「記憶の断片はいくつもあるものの、文章にまとめるとなると大変だった」と執筆の苦労を振り返る滿里子さん。父と父を支えた母・ヨシノさん(佐賀県東松浦郡相知村=現唐津市=出身、平成25年逝去)の記録を探すため、県庁や唐津市役所、勝本町漁協などに取材したり資料を取り寄せたりした。

營子さんは、戦中戦後の生活や町議会議員、漁協婦人部長として地域で活動した経験をもとに執筆した。

滿里子さんは「当時、勝本で漁師をしていると、外からの情報も入ってきづらかったと思う。その中で(漁協青年部を)立ち上げたりして、尊敬できると改めて感じた。軍隊への入隊やシベリア抑留の経験が広い世間を知るきっかけになったのかもしれない。両親のもとに生まれてよかった」、營子さんは「全国ほとんどの浦々に行ったが、勝本湾の美しさは素晴らしく、誇らしく思う。若い人たちの次のステップになれば」と話した。

島内書店で購入でき、1980円(税込)。4月からは勝本町漁協横のヒヨリミテラスでも購入できる予定。

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