一支国博物館で開催中の「ジュディ・オング●玉 木版画の世界展」を記念して、歌手、女優、版画家であるジュディ・オングさん(63)のトークショーとサイン会が11日、同館3階多目的ホールで開催された。
ジュディさんが壱岐を訪れたのは初めて。記者会見で「展覧会のお話を頂いた時には“長崎の先にある島”というだけの認識でしたが、調べると古墳や遺跡などの歴史、多くの神社など文化がとても魅力的で、訪れるのがすごく楽しみでした」とこの日を心待ちにしていた。航空機の着陸時には「夕焼け、白い雲、青い空、白砂の浜辺、透明な海の色など七色の景色が本当に美しかった」と芸術家らしい表現で壱岐の絶景を称えた。
前日の夕食にはウニ、アワビ、壱岐牛、ひきとおし、壱岐焼酎などのグルメを堪能。「食べ物のおいしさはもちろんですが、人がみんな優しいの。歴史上、貿易の拠点として発展した島なので、人を歓迎する精神が育まれているのかもしれませんね」と壱岐人気質を分析した。
今後、壱岐を題材にした作品を制作については「崩されていない昔の風景が見られるのではないかと期待しています。先生からは、これまで紹介されていないところを題材にするといい、と言われています」と可能性を口にした。
トークショーでは、木版画を始めたきっかけ、企画展の見どころ、女優・歌手業と木版画家の両立、今後の活動など幅広く語った。見どころについては「棟方志功派なのでもともとは墨の濃淡で描いていたのですが、日展出品の3回目から“このままでは入選が続かない”と考えて1色ずつ色を入れるようになりました。この作品に、皆さんの歴史、記憶にある風景の色を足して頂くことで、作品が完成すると思っています」と鑑賞者によって違う作品になっていくことを強調した。
女優・歌手業との両立については「年間のある程度の計画は決まっていますが、歌手の仕事をしていても1日3時間あれば、テレビを見ないで制作活動をしています。ちりも積もれば山になるし、できると思えば可能性は100に広がっていくもの。できる、やってみよう、と考えると人生は楽しくなります」とジュディさんらしい生き方を語った。
企画展は15日から第2部が始まり、「花」をテーマにした作品が2月16日まで展示される。
◆ジュディ・オング 1950年台湾・台北市生まれ。台湾名は翁●玉。2歳で来日し、11歳で女優デビュー。「S・Hは恋のイニシャル」「江戸を斬るⅣ」「ハイカラさん」など数多くのテレビドラマに出演。16歳で歌手デビューし、「たそがれの赤い月」がヒット。1979年には「魅せられて」が200万枚のヒットとなり、第21回レコード大賞を受賞。75年から木版画に取り組み、日展、白日展などに数多く入選。2005年は日展特選を受賞した。長崎とも縁が深く、11年に料亭「花月」を題材にした「華燈翠園」で日展入選。12年は長崎県美術館で「木版画の世界展」を開催し、49日間で5万3千人が観覧。同美術館の企画展では過去5番目の入場者数となった。長崎らんたんフェスティバルでは皇后役を務めて皇帝パレードを行った。