悲願達成に一歩及ばず。第96回全国高等学校野球選手権長崎県大会2回戦が16日に長崎県営球場で行われ、壱岐は第2シードの海星に1‐2の惜敗、壱岐商は第1シードの創成館に2‐7と、善戦及ばずに敗退した。だが優勝候補2校相手に互角の勝負を見せたナインは、壱岐に大きな自信と元気をもたらした。
海星相手にあと一歩
壱岐魂を見せた
先制したのは壱岐だった。3回表、2死二塁に4番酒井仁汰主将(3年)が右中間を超えるタイムリー三塁打で、辻川をホームに迎え入れた。
投手陣も踏ん張った。先発した後藤和貴(3年)は、アンダーハンドからの多彩な変化球を駆使して、相手打者に的を絞らせず、4回を1安打無失点。2番手斉藤勇真(3年)も1回を三者凡退。1回戦では登板機会がなかった2人が、きっちりと仕事を果たした。
1‐0でリードの6回からはエース中本瞭也(3年)を投入して逃げ切りを図ったが、NHK杯優勝の海星は粘り強かった。6回裏2死一二塁から、3番峯脇の詰まった当たりが中前に落ちて同点。8回は2死二塁から4番平湯が中前に弾き返し、俊足の中嶋が本塁に突入。逆転の2点目が入った。
山本孝一郎監督は「良い試合だったと思う。失点はともに四球からだった点が悔やまれるが、投手交代のミスです。相手はそのワンチャンスを点に結びつけた。相手の石場君をあと一歩、打ち崩せなかったが、みんな自分の役割をしっかりと果たしてくれた」と、好投した3投手、海星(4安打)を上回る5安打を放った打線を称えた。
6回まで1‐1
優勝候補苦しめた
壱岐商は、初戦に続いて先発した左腕・篠崎翔太(2年)が猛打の創成館打線を、3回途中まで無安打に抑えた。打者一巡したところで、3回無死からエース小川●弥(3年)を投入する勝利パターンに持ち込んだ。
5回に先手を奪われたものの、6回表に敵失で1点を返し、県内では実力断トツと見られていた第1シードを相手に、流れは壱岐商がつかみかけた。だが7回はこの回から登板の2番手立部に三者三振。ここで流れが変わった。
7回裏は1死満塁から5番小野田に走者一掃の三塁打を喫し、暴投も加わり4失点。8回も2死満塁から適時打を浴びて2失点とダメ押しされ、9回に立部から1点を返したものの、時すでに遅かった。
西岡行人監督は「14三振を喫したが、打てないのは最初から判っていたので、積極的な打撃をさせたので仕方がない。四死球9も、思い切った内角攻めが死球になったもの。残念だったが、強敵相手に、できる中で精一杯のゲームになったと思います」とゲームを振り返った。
惜しくも大金星を逸した両校だったが、下馬評を覆す大善戦は、壱岐の実力アップを確実に裏付けるものとなった。