勝本町の壱岐イルカパークに3月25日、新たに3頭のバンドウイルカが搬入された。同パークでは昨年3~5月に3頭が老衰、事故などで相次いで死亡し、飼育頭数が3頭と減少したため、昨年9月の一般会計補正予算で購入(1頭105万円)を決め、水温が温かくなる3月を待って搬入された。イルカの新規導入は3年ぶり。
3頭は体長264~276㌢、体重184~260㌔のいずれもメス。推定年齢はもっとも小柄な1頭が約5歳、他の2頭が10~15歳と見られている(イルカの寿命は約40年程度)。
先輩の3頭とは別の生けすに3頭一緒に放され、すぐに壱岐の水にも慣れた様子で、元気に泳ぎ回っている。食欲も旺盛で、並んで泳ぐなど3頭のコミュニケーションも上々。時には水中のネット越しに、緊張しながらも先輩たちと接触を取るようになってきた。
餌やりの際に、トレーナーが初期の馴致(訓練)を始めている。搬入3日目の28日には、もっとも若い1頭はトレーナーが呼ぶと近くにやって来て水面に体を浮かべ、トレーナーとのスキンシップを喜んで行うようになった。また「ターゲット」と呼ばれる棒の先にフロートを付けたトレーニング道具に、鼻先をくっつけて立ち泳ぎをする練習なども始め、馴致は順調に進んでいる。
同パークは「若いイルカは警戒心が薄く、飲み込みも早いので、トレーニングが順調に進むと思っています。できれば3頭とも、お客さんの多い夏休みまでに簡単な芸を教えたいのですが、イルカたちの気持ちを優先してじっくりとやっていきます」と話している。
3頭の愛称は近く、同パーク職員らによって名付けられ、発表される。先輩の3頭は、最年長でかなり高齢となったパルフェと、2011年に導入されたあずき、ステラ(いずれもメス)。計6頭と頭数が揃ったことで、観光客にとって昨年よりも見応えのある施設となることが期待される。
また、市議会定例会3月会議で、平成26年度にさらに3頭のイルカの導入、トレーナー2人を増員、長崎や沖縄の水族館からベテラントレーナーを招いて指導を受けるなど、イルカパークをより魅力的な施設に変身させるための予算案が可決された。
新たに導入を予定しているのはバンドウイルカ以外の種類で、イルカと来場者が一緒にスイミングを楽しむ計画などが立てられている。
現在のイルカパークで行われている「イルカとあそぼう」(土日祝日に2回実施、各回6人限定。入場料金200円とは別途大人1000円、小中学生800円)はイルカに魚をあげ、近くで写真を撮ることができるが、イルカと触れ合うプログラムではない。
イルカとのスイミングを導入することで、他の水族館にはない特色を出して誘客に結びつけること、セラピーを求める人に提供することなどで、年間赤字2千万円近く、累積赤字は1億円近くに達するイルカパークの新たな存在意義を見出すプランを、市観光商工課は描いている。
市議会一般質問で指摘されたイルカパークの水質悪化については、まだ水質調査などが行われていない。現在は水深8㍍の海底まで目視ができる透明度となっているが、夏場になると1㍍程度の透明度まで落ちる。遺跡があるため水質浄化のための潮路を作ることは難しく、溜まったヘドロなどを取り除くしゅんせつ作業を行うと同時に、海藻を生やすことで浄化を図るなどの方法を、市は今後探っていく。