新市長に篠原一生さんが決まった。市総務課、政策企画課、SDGs未来課、市観光連盟出向時などに、多くの取材対応をして頂いただけに、その頭脳明晰でそつのない仕事ぶり、実直で丁寧な人柄にも触れてきた。ひと言で表現すると「野心ある優等生」と言ったところだろうか。
市長が代わっても行政は継続性が大切なだけに、白川市政の良い面を継続しながら徐々に新しい風を吹き込んでいくには、市役所時代に市長部局で辣腕をふるっていた篠原さんは適任であることを選挙結果が示していたのだと思う。
選挙戦で掲げていた100の政策、10の主要公約は、いずれも壱岐の課題を的確にとらえているもので、すぐに実現するのは難しい政策が多いが、篠原市政の方向性は見えてくる。ただ、選挙公約だけに仕方がないが、得票に悪影響を及ぼす可能性があるテーマは避けられていた印象もある。政策を実現するためには予算が必要で「稼ぐ市役所」を目指すことにもちろん異論はないが、それは上手く進んだとしてもかなりの時間が必要になる。現実的には財政削減を行わなければ新たな政策に着手できない。
市長に就任したからには、市職員や市民からの批判を受けようとも「何を削るのか」も明確にしてもらいたい。政治家は嫌われることも仕事の一つだ。
例えば小学校統廃合に関して、地域の賑わいやまちづくり協議会からの意見などを考えて当面は現状を継続するとの方針だが、同級生がほとんどいない中で6年間を過ごさなければならない子どもたちの意見は尊重されているのだろうか。大人の都合に合わせて子どもが犠牲になっているのでは「子どもを大事に育てる壱岐へ」のキャッチフレーズに反することになりかねない。
4庁舎分庁方式の問題も「当面は新庁舎建設反対の住民投票の結果を尊重する必要がある」というのは壱岐の未来を考えて本当に正解なのか。たとえ疎まれても嫌われても、大胆な政治手腕を発揮して欲しい。