第12回全国離島交流中学生野球大会(通称・離島甲子園)が19~23日に対馬市で開かれ、全国の離島から過去最多の25チームが出場。市中体連大会で優勝した勝本を中心に市内4中学校から選抜された18人の壱岐市選抜チームは、地元大会で優勝した第6回大会(2013年)以来の決勝進出を果たした。第2回(島根・隠岐の島)、6回に続く3度目の優勝を目指した決勝戦は、石垣島ぱいーぐるズ(沖縄・石垣島)に1‐3で惜敗したものの、昨年の3位に続く準優勝の好成績で、壱岐球児の実力の高さを全国に示した。
壱岐市選抜は初戦の2回戦で粘り強さを発揮した。八丈島選抜(東京・八丈島)との対戦は、1‐1で迎えた5回表に2失点。時間制限で5回が最終回となることが濃厚だっただけに厳しい試合状況だった。だが5回裏先頭の7番都野川楓(勝本)が中前安打で出塁すると、8番豊坂悠平(勝本)も左前安打で続き、さらに9番川上稜(勝本)のピッチャーゴロが相手のエラーを誘って無死満塁。1番吉田遥人(勝本)は三塁ゴロに倒れたものの、2番山口陽大(勝本)がレフトへ2点適時二塁打を放ち、土壇場で同点に追いついた。さらに1死二、三塁から3番枡嵜翼(芦辺)がレフトオーバーの2点適時二塁打を放ち逆転。5‐3となった時点でタイムオーバーとなり、見事な逆転勝ちを遂げた。
川上稜キャプテンは「5回表の2失点でヤバイかな、とも思ったが、裏の攻撃で先頭打者が出塁してくれたので、一気にムードが高まった。壱岐市選抜らしい、あきらめない気持ちとつなぐ野球を発揮することができて、3回戦からの勢いにつながった」とこの初戦の逆転サヨナラ勝ちが大会のポイントとなったことを語った。
準々決勝は地元の対馬ヤマネコボーイズ(長崎・対馬)戦でアウェーの雰囲気。初回に1点を先制されたが、2回に小畑仁誠(石田)の同点本塁打で追いつくと、3回以降も得点を重ねて逆転勝ち。準決勝の龍郷選抜(鹿児島・奄美大島)戦からは対馬、五島、上五島の県内離島チーム関係者も壱岐市選抜の応援に駆けつけ、地元ムードでリラックス。龍郷選抜を4‐2で退け、決勝進出を果たした。
決勝の相手となった石垣島ぱいーぐるズとは4年連続の対戦。第9、10回では連敗したが、昨年の第11回は1回戦で対戦し、6‐2で快勝し、苦手意識を払拭していた。決勝はエラーの少ない引き締まった試合となった。1、2回を三者凡退に抑えた壱岐市選抜の先発・吉井裕貴(勝本)だったが、3回に下位打線から3連打で1失点。5回も下位打線につかまり失点した。壱岐市選抜は5回裏、川上の左犠飛で1点を返して1点差に迫ったが、6回表にも1失点。6回裏1死一、二塁のチャンスもあと一本が出ずに、宿敵・石垣島ぱいーぐるズに及ばなかった。
川上キャプテンは「石垣島の選手は体が大きく、ストライクはどんどん打ってくる積極さもあり、打撃は格が上だった。それでもノーエラーでしっかり守れたことは自信になった。甲子園の決勝の日に、離島甲子園の決勝を戦えたことも印象深い。高校になってもこの18人が同じチームになり、今度は本当の甲子園で決勝に進みたい」と目を輝かせた。
来年は香川・小豆島で開催される。