社説

大型店、続々出店のリスク。

経済産業省はこのほど、今年5月に申請された大規模小売店舗立地法に伴う新設届け出を発表し、本市では郷ノ浦町柳田触に建設中の「ドラッグコスモス壱岐店」が申請された。届け出書によると、オープンは来年1月18日。店舗延べ面積は1632平方㍍で、12年11月オープンのドラッグストアモリ壱岐郷ノ浦店の1428平方㍍より15%ほど大きい。

コスモス薬品(本社・福岡市)が展開するドラッグストアチェーンで、全国に1千店舗近くを展開。九州だけでも545店舗があり、長崎県は41店舗。離島ではすでに五島、対馬に出店している。薬品、健康食品だけでなく、食品も精肉、鮮魚、青果の生鮮3品以外の加工品、牛乳、豆腐、酒類など低価格で販売している。

郷ノ浦町の田中触、柳田触など国道382号線沿いにはすでに、ダイレックス、ドラッグストアモリ、マツモトキヨシと3店の大型ドラッグストアがあり、7月26日にはマルエー生活館の後にスーパーマーケットエレナ壱岐郷ノ浦店がオープンした。こちらはドラッグストアではないが、扱っている商品の重複は多い。エレナはフランチャイズ店だが、島外大手チェーンの壱岐進出は目覚ましいものがある。消費者にとって大型店の相次ぐオープンは、利便性が高まることのメリットが大きい。価格設定は基本的に全国統一なので、いわゆる「離島価格」も少ない。生活・食料品の買い物は本土とそれほど違いを感じないだろう。

だが心配もある。近くにこれだけ競合店が揃えば、客の奪い合いは激しくなる。ダイレックスとコスモスは5百㍍程度しか離れていない。大手チェーンはしっかりと調査をして出店を決めているはずだが、人口は毎年5百人程度減り続けており、人口2万人を切るなど採算ラインを切った場合、一斉に撤退する恐れもゼロではない。これまでに同業地元店は多くが廃業しており、もし島外資本撤退となれば壱岐が「買い物難民の島」に陥る可能性もある。

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